小児がんなど、重い病気を患う子供たちが安心して過ごせる場所「こどもホスピス」を県内に設立しようという動きが進んでいます。常設のホスピスは来年度中のオープンを目指していますが、活動について知ってもらおうと青葉区で週一度の「こどもホスピス」の取り組みが始まりました。

青葉区にある川平教会内に開設された「川平のおうち」。病気の子供や家族のために作られた「こどもホスピス」の仮施設です。
「こどもホスピス」は、末期の患者をみとる一般的なホスピスと違い、一日単位で利用できるのが特徴です。子供の医療的ケアは家族が行いますが、施設には看護師と保育士が常駐し、家族が安心して利用できるようになっています。スタッフは全員ボランティア。この日は、心理士や市内の大学の医学部に通う学生も参加しました。
ここでの取り組みは4月から始まりましたが、すでにリピーターもいます。日下綾さん(42)です。次女の花さん(15)は生後3カ月で低酸素脳症になりました。花さんは日常的に胃ろうやたんの吸引が必要です。

日下綾さん
「花といると緊張して過ごす時間が多いので、リラックスして過ごせる場所というのはすごくうれしい。今まで平日に花を預けられる場所はあったけれど、家族全員で遊べる施設は無かったですね。楽しいという気持ちだけで過ごせるのがすごくいい」

重い病気を患う子供の親同士で会話ができることも、日下さんにとってリラックスできる理由になっています。
当事者の子供や親が安心できる場所。それは子供のきょうだいにとっても特別な場所になっているようです。

次女が低酸素脳症を患う松本美香さん(45)
「(きょうだいは)この子と一緒にいると外に付いて行きにくかったり、ケアがあるので外でできないので家で遊ばせていることが多い。外で遊んだり植物など季節を感じたり、そういう経験ができていいなと思っています」

一方、「こどもホスピス」の普及には大きな壁があります。
病院に併設しない形で設置された「こどもホスピス」は国内では大阪市と横浜市の2カ所のみ。医療や福祉の制度にあてはまらないため、運営は寄付に頼らざるを得ないのが現状です。
宮城県には去年、「宮城こどもホスピスプロジェクト」が発足。医療関係者などが参加し研修会を重ねてきました。毎週土曜に開く「川平のおうち」は、施設の設置に向けた試金石でもあります。

宮城こどもホスピスプロジェクト 園川悦子さん
「家族を孤立させたくないという思いで作ったので、是非来てください。こいのぼりやお花見がすごく楽しいと言ってくださっているのがうれしいですね。この小さなホスピスは思った以上に素敵と思っている。ここでしっかり足場を作って大きな施設に向かって歩いていきたいと思っている」

「川平のおうち」で経験を重ね、プロジェクトへの理解を広げていく。「宮城こどもホスピスプロジェクト」は、来年度中に仙台市内で常設の「こどもホスピス」のオープンを目指しています。

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