働きながら介護する「ビジネスケアラー」が増えるなか、仕事と介護の両立が課題になっている。経済産業省の試算では、家族を介護する人は2020年の678万人から30年には833万人まで増え、そのうち約4割の318万人がビジネスケアラーだと予測する。

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 両立が困難になれば、従業員の業務効率の低下や介護離職につながり、経済損失は大きい。30年の損失額は約9・2兆円に上り、その8割強が労働生産性の損失によるものだ。

 同省は対策に乗り出し、有識者会議の議論を踏まえて今年3月、仕事と介護の両立推進に向けた経営者向けの指針を公表した。これまで政府は、育児・介護休業法に基づく支援をしてきたが、指針では経営者に両立しやすい環境づくりを促している。

 狙いは、介護離職など事業運営のリスク管理を行う観点から、両立問題を人材戦略の一部として取り組む重要性を共有することなどがある。指針では、両立支援にあたる担当役員の設置など経営陣の積極的な関与▽全社調査といった実態の把握や目標設定▽研修の実施や相談窓口の明示による情報発信――などの対応を企業に求めている。(片田貴也)

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