コンビニ大手「セブン―イレブン・ジャパン」が、しょっぱい味を好む人が多いとされる東北地方で、塩分を減らしてだしの味を生かす「適塩」を意識した商品販売に本腰を入れている。同社は「薄味の食品を意識する人は近年増えてきた実感がある。減塩を呼びかけてきた秋田県とともに、商品を通じて啓発していきたい」としている。
同社は11日、秋田県庁で記者会見を開き、県の担当者やサッカーJ2・ブラウブリッツ秋田の関係者らと協力して開発したという新商品8品を12日から東北6県の店頭で販売すると発表した。
「健康秋田いきいき応援フェア」と名づけ、塩分を通常の商品より1~2割抑えた「いぶりがっこの味ご飯おむすび」「ぎばさの海苔佃煮おむすび」「比内地鶏だし仕立てスープ稲庭うどん入り」「冷たいまま食べる煮物」の4品を発売する。また、秋田の食材を生かした「いぶりがっこタルタルの白身フライ&ポテト」や「横手やきそば」なども売り出す。
同社によると、適塩を意識したキャンペーンは、2023年からの青森県や岩手県での実施に続くもの。同社オペレーション本部の野上明・副本部長らは、ニーズについて「過去にはなかなか定番化しなかった雑穀米やもち米を使った商材が食べられる頻度が増えてきた。スムージーなどの健康志向の食品も近年人気を集めている」と分析。今回の取り組みについて「減塩や健康を意識する人は増えてきており、こうした商品の継続的な消費で『気づいたら減塩』という形につながれば」と期待している。
東北地方は寒冷な気候から、野菜や魚といった食材を塩蔵して冬を越していた名残などで「しょっぱい味」が好まれる傾向があるとされる。このため、みそ汁や漬物などで濃い味が代々受け継がれてきた家庭も少なくない。
東北各県では野菜摂取量を増やすことや、ラーメンの汁を飲まないことなどが強く呼びかけられている。減塩対策は6県の共通課題だが、薄味啓発の取り組みや行政側による外食店やスーパー、コンビニエンスストアなどへの働きかけの取り組みには県や地域によって開きがあるのが実情だ。【工藤哲】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。