地震や大雨など自然災害が発生するとライフラインが止まり、それまでと同じ生活を送ることが難しくなる可能性がある。水道が止まってしまったとき、給水車から水をどう運ぶのか。アウトドアを取り入れた防災を広く伝える及川真一さんに教えてもらった。

仙台市出身の日本赤十字秋田短期大学講師・及川真一さんは、地元で東日本大震災を経験し、災害時に「命を守り・つなぐすべ」を広く伝えている。

自然災害が起こると、電気・ガス・水道などライフラインが止まる可能性がありる。水道が止まると給水車が派遣されるが…。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「給水車から自宅までは自分で運ばないといけない。給水車まで水を取りに来て、18リットルの水を給水車からもらった想定で、『自宅まで歩いて持って帰る』イメージで持って歩いてみよう」

佐藤愛純アナウンサーが実際に体験したが、ポリタンク一杯の水は思っている以上に重く、歩いて運ぶのは大変だ。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「東日本大震災も能登半島地震でも、重たくて運べない人が多数いた。途中で水を捨てているケースも東日本大震災のときに見た。それから『18リットルが持てない』と、入れる量を自分が持てる量に減らす人が出てくる」

実際には、少しでも楽に運べるようにするため、ペットボトルに水を入れて買い物用の「かご」で運ぶ人もいるようだ。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「ただこうなると、1人に必要な量に対して、圧倒的に水の量が減ってくる。毎日水を運ぶとなると大変なので、摂取する水分量を控えて体に影響が出てくる人もいた」

水分補給を怠ると、脱水症状やいわゆる「エコノミークラス症候群」の危険性が高まる。1日に必要な量の水は、どうしても確保しなければいけない。

水を運ぶ手段として、一つは「車」がある。ところが及川さんは、石川で「車で運ぶこと」に課題を感じた。それは秋田にも通じるものがある。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「能登は高齢化率が非常に高く、免許を返納して車を持っていない人がいたので、どうやって給水車から水を運ぶのか、大きな課題になっていた」

少しでも負担を減らすために「ごみ袋」を活用することができる。重ねた袋に水を入れ、空気を抜いて口を結ぶ。

両手が使えないと災害時は危険が伴うため、できれば両手が使える状況が良いということで、及川さんは、水の入った袋をリュックに入れて運ぶことを提案した。こうすることで、普段使っているリュックが「タンク」になる。重さを感じにくくなるだけでなく、両手を使えるようになる。

また、貴重な水を効率よく使うには、ちょっとしたアイデアが役に立つ。それが「ペットボトルシャワー」だ。

ボトルの下のほうに、画びょうなどを使って複数の穴を開けたら完成。ふたをゆるめると穴から水が出てきて、両手を洗うことが可能になる。ふたを閉めると水が止まり、ペットボトルを倒して保管することができる。

災害時は避難所で集団生活を送ることで、食中毒などのリスクが高まるとされている。ペットボトルシャワーを覚えておくと、手を清潔に保つことができそうだ。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「水不足のときには、節約しながら自分の衛生管理を保つことが大切だと思う。特に手は、自分の顔の周辺を触ったり、食べ物を食べたりするときに必ず使うので、手はきれいにしてほしい」

いつ、どこで起こるか分からない自然災害。いざという時を想定して過ごすことが、防災・減災につながる。

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