去年の今ごろ買った氷砂糖が余ってしまい、そのまま残っています。梅シロップ作りなどに使っても問題ないですか。  湿気がなければ大丈夫 分量は果実と「1対1」で

氷砂糖で梅のエキスを引き出しシロップを作る(全日本氷糖工業組合提供)

 氷砂糖は、お酒にシロップにビネガー作りに、とフルーツを漬けるのに欠かせない縁の下の力持ち。全日本氷糖工業組合の鈴木健士さん(38)に、特徴や使い方などを聞きました。  「氷砂糖は、一番純度の高い砂糖の結晶です」と鈴木さん。グラニュー糖を溶かし、再結晶させて作る大きな粒が氷砂糖で、透き通った氷のような外見から、その名がつきました。  古くから世界中で作られ、日本には中国から伝わったそうです。ただ、今が旬の梅とともに氷砂糖を使って梅酒をつくるのは元々日本だけだとか。庭先に梅の木のある家庭が各地に多かったためか、初夏の文化として根づきました。  氷砂糖は粒が大きいので果実酒やシロップ作りに向いています。上白糖やグラニュー糖などの小さな粒の砂糖よりも果実と接する面が多く、浸透圧で果実のエキスを含んだ水分をよく引き出します。上白糖やグラニュー糖などで起こりがちな溶け残りもありません。  ほかにも、純度が高いので、黒豆などの煮物や和菓子作りに使うと、素材の味が生かされます。  賞味期限はないので、災害に備えた非常食としても重宝します。ただ、湿気に弱く、においも移りやすいため、保管は湿度の高い場所やにおいの強い物の近くは避けましょう。保管状態が良ければ、いつまででも使えます。逆に湿気を吸ってべたつきが出てきたら、雑菌がつく心配もあり、鈴木さんは使わないことを勧めます。  梅シロップの作り方です。  青梅1キロ、氷砂糖1キロ、食酢150ミリリットルが作りやすい分量です。果実と氷砂糖の重さの割合は「1対1」。梅以外も含めて果実の味わいを最も楽しめる黄金比です。果実酒やビネガーを作る場合も同じです。  青梅を傷つけないよう優しく水洗いし、水気をよく拭きます。梅と氷砂糖を3分の1くらいずつ交互にガラス瓶に入れ、最後に発酵防止のために食酢を入れます。癖の少ない、りんご酢がお勧めだそうです。食酢がまんべんなく行き渡るよう、1日1回程度、瓶を逆さにして振ります。  3週間ほどで約1・6リットルの梅シロップができあがります。梅の実はエキスが出てしまい、砕けて濁りのもとになるので取り出します。シロップは冷蔵庫で1カ月ほど保存できます。3~7倍に薄めて飲んだり、かき氷やヨーグルトにかけたりして楽しめます。梅以外にも、レモンや甘みの少ない果物はシロップに向いています。  梅シロップを使って手軽にできる冷たいデザートもあります。「梅ラッシー」のレシピを紹介します。 (鈴木久美子)

◆梅ラッシー

【材料】 梅シロップ 大さじ2
プレーンヨーグルト 100グラム
牛乳 50ミリリットル
ミント 適量 【作り方】 <1>梅シロップ、ヨーグルト、牛乳を混ぜる <2>グラスに(1)を注いで、ミントをのせたらできあがり

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