富士山登山鉄道構想を推進する山梨県は12日、構想に反対する富士北麓(ほくろく)地域の市民グループ「富士山の未来を考える市民の会」が提出した公開質問状に回答した。

 県は富士山5合目への来訪者をコントロールする交通手段として、富士スバルラインにおける次世代型路面電車(LRT)の運行を想定する。一方で市民グループは質問状で電気バスの優位性と導入を主張していた。

 県は、電気バスについて「最適解とは言いがたい」と回答。理由として1台あたりの運搬人数の少なさや、多数の運転手の確保が困難なこと、大規模な充電設備の必要性などを挙げた。

 県はLRTを運行する場合、軌道法の適用によってマイカーや観光バスを通行させない方針を示している。市民グループは県道であるスバルラインの通行規制を条例改正などで強化できるのではないかと疑問を呈していた。

 これに対し、県は、道路法や道路交通法による規制は必要最小限にとどめるべきだと主張。開山期間中のマイカー規制によって、最長で10キロ程度あった渋滞が解消されたと指摘し、「更なる規制強化を行う理由は見あたらない」と結論づけた。

 市民グループは、冬季に地中の水分が凍って地面を押し上げる「凍上現象」によってLRTの軌道が持ち上がるリスクや、軌道修正にかかるコストも指摘していた。

 これに対して県は、スバルラインの車道部で凍上現象の影響で補修をしたケースがないことや、軌道修正に多大な費用がかからないとの見通しを示した。登山鉄道構想の事業化は、運賃収入による採算性の確保が前提との考えも表明した。

 回答書を県幹部から受け取った同会の秋山真一・共同代表は記者団に「県の姿勢はぶれないと感じた。LRTに代わる交通システムを模索したい」と語った。(池田拓哉)

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