飼い犬=米田堅持撮影(本文とは関係ありません)

 犬や猫などペットのオンラインによる遠隔診療が本格的に解禁される。これまで、ペットのオンライン診療について政府が定めた基準はなかったが、農林水産省が新たに指針を策定し、初診からオンラインで診療できることを明確化する。獣医師がオンライン診療に参入しやすくなるほか、飼い主らの利便性向上にもつながると期待されている。近く政府が閣議決定する経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む。

 ペットのオンライン診療を巡っては、社団法人日本獣医師会が2022年、「かかりつけ獣医師が一定の条件を満たして行うのであれば、初診から遠隔診療を行える」などとするガイドラインを策定し、導入する獣医師らが増えてきた。

 しかし、内閣府の規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)には「ガイドラインに沿ってオンライン診療を始めたところ、東京都から『獣医師法に抵触する』と指導があり、事業を停止した」との訴えが寄せられた。内閣府規制改革推進室が中心になって検討した結果、獣医師がオンライン診療を行う上で、法的安全性を確保する必要性があると判断した。

 オンライン診療を巡っては20年、新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例で人への対応が解禁され、21年には、養殖魚と家畜についても規制が緩和された。

 動物病院向けオンライン診療システムの開発などを手がける「みるペット」(東京都中央区)が20年に実施した調査によると、オンライン診療を「利用したい」と回答した飼い主は69・4%で、「国や獣医師会などでの積極的な議論やガイドラインの作成を望む」と回答した獣医師は77・4%に上った。【古屋敷尚子】

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