埼玉県桶川市の中学校で、ある校則が物議を醸している。教室での水分補給に関する「マナー」を定めたものだが、熱中症の危険性が指摘されるなど一部保護者の反発を招いた。専門家も「合理的な説明がつかないのでは」と疑問視する校則とは。
この学校で今春、「生徒指導の変更点と確認項目まとめ」と題するプリントが生徒に配布された。物議を醸したのはそこに書かれていた校則の一つだった。
原則、授業中やテスト中は(水筒で水やお茶を)飲まないことをマナーとする――。
これを見た生徒の保護者(48)は「(熱中症で)生徒が命を落とすかもしれない。体調が悪くても『水を飲みたい』と言い出せない生徒もいるのでは」と訴え、撤回を求めた。学校は応じなかったという。
この校則はなぜ作られたのか。教頭は取材に「教師が話している時も水筒を手に取るなど、生徒たちに節度がなくなっている実態があった」と経緯を説明。あくまで「原則」のため「どうしても飲みたい時は、挙手をするなどして教師の許可を得れば良い」と話した。桶川市教育委員会も「完全に水分補給を禁じているわけではなく、問題はない」との認識を示す。
校則問題に詳しい名古屋大の内田良教授(教育社会学)は「かつては授業中の水分補給を禁じる小中学校がほとんどだったが、最近は自由にさせる学校が増えつつある。校則以上に大事なのは生徒の健康。熱中症対策という観点からも、教師の許可が無ければ水やお茶を飲めないことに合理的な説明はつかないのではないか」と指摘した。【加藤佑輔】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。