鹿児島・奄美大島の瀬戸内町で、チョコレートの原料となるカカオの栽培に取り組む男性がいます。2024年、実の収穫ができ、自家製のチョコレートを作ることができました。カカオの多くが外国で栽培される中、瀬戸内町産カカオで作ったチョコレートを町の特産品にしようと取り組む男性を取材しました。
訪ねたのは瀬戸内町の古志集落にある農業用ハウス、特産のパッションフルーツが栽培されている片隅にカカオの木があります。
この日は今シーズン最後のカカオの収穫。
木の枝や幹にぶら下がっている、黄色く熟したカカオの実を収穫していきます。大きいもので長さが20センチ、直径が13センチあり、チョコレートの原料になるのは、この実の中にある種子「カカオ豆」です。
「1回の収穫で5kgから10kgくらいまでとれますね」
こう話すのは清水健太郎さん(47)。神奈川県出身で、2013年に夫婦で古志集落に移住しました。友人のすすめで、5年前に関東の熱帯植物専門店でカカオの苗木を購入し、育て始めました。
栽培方法が分からず、身近に聞ける人もいなかったため、ネットで調べました。
清水健太郎さん
「英語の論文とか、向こう(生産地)の動画とか、日本での情報はほとんどないので手探りでした」
カカオは、四季のある日本では栽培が難しいとされ、アフリカのコートジボワールやガーナ、インドネシアなど、高温多湿の地域で多く栽培されています。
購入した約20本の苗木の多くは成長しませんでしたが、2022年、2メートルほどに育った木を鉢から土にたところ2023年、初めて実を付けました。現在は5本を育てています。
清水健太郎さん
「うれしかったですね。最初に1cmくらいの実がついた時は『ウオー!』と思いました」
そして2024年、収穫できるまで実が大きく育ち、熟した順に1月から3回に分けて、約50個を収穫しました。
カカオの実を使ってチョコレートを作ってみようと考えていた清水さん。自宅でチョコレートを作ってもらいました。
清水健太郎さん
「今から作るのがカカオ70%のチョコレート」
チョコレートを作る前の工程で欠かせない、カカオ豆の発酵や乾燥方法もネットで調べ、これまでに何度も作ってきました。
清水健太郎さん
「底の方が(チョコの状態になった)。これを繰り返すとチョコレート様のものが増えていきます」
作り始めて30分、柔らかいチョコレートができあがり、型に流し込んで冷蔵庫で固めます。
この日は、清水さんのカカオ栽培に注目している瀬戸内町の担当者が訪れ、チョコレートを試食しました。
瀬戸内町農林課・泊広明さん
「以前よりも酸味とかが感じられなくなり、食べやすくなっています」
奄美支局・麓伊賀久記者
「カカオの苦みもあり甘さもあって、しっかりとチョコレートの味がします」
清水健太郎さん
「どうも初めまして」
「よろしくお願いします」
チョコレート作りを模索する清水さん、鹿児島県龍郷町で外国産のカカオ豆でオリジナルのチョコレートの製造、販売を行っている専門店を訪ねました。
店の代表者にチョコレート作りのアドバイスを求めました。
清水健太郎さん
「いろいろ持ってきたんですけど、とりあえずまだまだと思うんですが、チョコレートっぽいものを作ってきたので」
越間崇喜さん
「風味もあって特徴が出ていて、すごくおいしいですね」
越間崇喜さん
「焙煎や発酵のデータをしっかり取って、良い品質のカカオ豆を作って、そうしていいチョコレートになると思うので、今後、活躍していただきたいと思う」
清水健太郎さん
「見たことがない機械や工房を見せてもらい、テンションが上がりますよね。『こうやるんだ』というところが結構あって勉強になる」
清水さんは、今後木を増やす計画で、カカオの実を安定して一定量、確保できるかが課題です。
瀬戸内町産のカカオ豆を使ったチョコレートの製品化を目指し、清水さんの試行錯誤の日々が続きます。
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