目次
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全国で最も早く都内でスタート
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都内では出発式も
全国で最も早く都内でスタート
いわゆる「日本版ライドシェア」のサービスが、全国で最も早く8日から都内で始まりました。
「日本版ライドシェア」はタクシー会社が研修や運行管理などを行う運営主体となり、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ仕組みです。
都内では出発式も
都内ではタクシー会社などが参加した出発式が行われました。
式では斉藤国土交通大臣や河野デジタル大臣らがテープカットをしたあと、5つの会社のあわせて9台の車両が出発しました。
業界団体によりますと9人のドライバーは普通免許を持つ20代から50代の自営業者や主婦などでタクシー会社の安全管理のもとで自家用車を使って運行を行います。
東京ハイヤー・タクシー協会 川鍋一朗 会長
「ライドシェアの導入によってタクシー不足で利用できない人を減らしていきたい」
利用するには?運賃と決済方法は?
ライドシェアのサービスの利用に必要なのは配車アプリです。
アプリで車を予約し、事前に目的地や運賃を確定させます。
運賃はタクシーと同じ水準で支払いは原則、アプリを使ったキャッシュレス決済で行います。
アプリを使った運行は乗客とドライバーの間のトラブルを防ぐねらいもあります。
ドライバーの免許は?安全管理は?
気になるのは、ドライバーの免許や安全管理の仕組みです。
タクシーのドライバーは第二種運転免許を取得する必要がありますが、ライドシェアのサービスは普通免許で行うことができます。
車両は自家用車の使用が可能で、いわゆる「白ナンバー」で運行できます。
運行の安全管理をタクシー会社が担い、当面はタクシー会社がドライバーを雇用する形となります。
また、タクシー会社は、車両の整備やドライバーに対して必要な研修を行わなければならず、タクシー事業と同じように任意保険などへの加入も求められています。
運行始まった地域は?運行時間は?
ライドシェアのサービスは、都内では東京23区、武蔵野市、三鷹市で認められています。
運行時間は以下の通りです。
▽月曜日から木曜日は、午前7時から午前10時台まで
▽金曜日は、午前7時から午前10時台までと午後4時から午後7時台まで
▽土曜日は、午前0時から午前4時台までと午後4時から午後7時台まで
▽日曜日は、午前10時から午後1時台まで
都内で8日からサービスを始めた会社の1つ「日本交通」では、午前7時からおよそ4時間の間にドライバー50人が運行し、あわせておよそ300組の客が利用したということです。
都内以外の地域は?
8日から始まったいわゆる「日本版ライドシェア」のサービスについて国土交通省は「タクシーの運行を補完するもの」として位置づけています。
そのため、タクシーが不足する地域や曜日、時間帯にサービスは限定されています。
どのくらい不足しているかは、配車アプリを使った利用者からの依頼に対し、どのくらい配車できたかを示す「マッチング率」を基準としています。
例えば10人の配車依頼に対して8台が配車できた場合、「マッチング率」は80%となります。このマッチング率が90%未満になるとタクシーの台数が不足していると判断されます。
この基準に基づいて、今月からサービスが認められたのは、以下のあわせて4つの地域となっています。
▽東京 東京23区・武蔵野市・三鷹市
▽神奈川 横浜市・川崎市など
▽愛知県 名古屋市・瀬戸市など
▽京都府 京都市・宇治市など
運行できる台数も「マッチング率」に基づき決まっています。
例えば、東京の場合、月曜から金曜の午前7時から10時台までが1780台、金曜と土曜の午後4時から午後7時台までが1100台などとなっています。
また、5月からは、タクシーの営業区域ごとに以下の地域でサービスが認められました。
▽「札幌交通圏」(札幌市など)
▽仙台市
▽埼玉県の「県南中央交通圏」(さいたま市など)
▽「千葉交通圏」(千葉市など)
▽「大阪市域交通圏」(大阪市など)
▽「神戸市域交通圏」(神戸市など)
▽「広島交通圏」(広島市など)
▽「福岡交通圏」(福岡市など)
さらに、国土交通省は3月29日、このほかの地域で地元のタクシー会社の意向がある場合には、金曜と土曜のそれぞれ午後4時台から翌日の午前5時台にかけて、営業区域内のタクシー台数の5%以内であれば、ライドシェアのサービスを認めるなどの新たな方針も示しました。
このため今後、サービスが提供される地域は拡大するとみられます。
各大臣が乗車までの流れを体験
8日の出発式では斉藤国土交通大臣や河野デジタル大臣がライドシェアのサービスを利用するための配車アプリを使って車両を呼び、乗車までの流れを体験しました。
斉藤大臣は「車の手配から目的地までの移動の流れがアプリで分かり、快適に乗ることができた。車両の安全もしっかり確認してもらいたい」と話していました。
ライドシェアのサービスを行った40代の女性
「ふだんは介護タクシーのドライバーの仕事をしていますが、空いた時間でライドシェアのドライバーに挑戦したいと思いました。タクシー会社での研修は座学と実習を含めて思ったより長かったですが、安全に運転するために必要だと感じました。運転が好きでライドシェアに興味があったので頑張りたいです」
ドライバーの研修進めるタクシー会社では
4月にもサービスを始める予定の都内のタクシー会社ではドライバーの研修などの準備を進めています。
東京・中野区のタクシー会社「日本自動車交通」ではライドシェアのドライバーの募集に対してこれまで100人ほどから問い合わせがあり、20人程度を採用したり採用の内定を出したりしたということです。
8日からは実際の車両を使った研修が始まり採用された3人が参加しました。
このうち都内に住む20代の男性は、以前、勤務していた会社で車を運転して自動販売機の商品の補充業務を行った経験があるということです。
このタクシー会社では、営業所への出勤を原則として遠隔ではなく対面での点呼を行うほか、アルコールチェックなどの管理を徹底することにしています。
8日の研修ではそうした手順の説明のほか、配車を受けるためのアプリの設定や安全運転についての講義も受けました。
続いて運転の研修では、タクシ-乗務員が指導役として同乗して東京・中野区の本社を出発し、新宿や銀座などをおよそ2時間かけて走りました。
参加した人は実際に車両を運転しながら、助手席に座った乗務員から「お客さんを乗せたら必ず行き先が正しいかを確認する」とか「乗り降りの際にはドアが安全に開閉できているか丁寧に確認する」など、注意するポイントについて説明を受けました。
この会社ではドライバーに対して数日間にわたる研修を行ったうえで、安全な運行ができると判断した場合に実際の運行を始めてもらうことにしています。
研修を受けた20代の男性
「お客さんを乗せると思うとふだんの運転と気持ちが違いますが、適度な緊張感でのぞみたいです」
会社によりますと勤務は1日4時間程度で、前日までに申し出れば勤務可能なほか、給料は時給1500円で、売り上げ実績に応じて歩合給を加算するとしています。
またタクシー会社が車両の整備や管理の責任を負うことになっています。
ドライバーを確保するためにも会社で所有する車を貸し出す仕組みを導入することにしています。
村澤儀雄 代表取締役
「ドライバーの研修を行い運行の安全確保を徹底したい。安全な運行にはドライバーが運転のくせを認識することが欠かせず、そうした指導にはタクシーで培ったノウハウを生かしたい。ドライバーに貸し出す車両はタクシーと同じ車両であるため自家用車とは違って整備や管理も徹底できる強みがあると思う」
安全管理 雇用形態など議論続く
「ライドシェア」をめぐっては、タクシー会社以外の事業者が運営することを認めるかどうか、政府の「デジタル行財政改革会議」で議論が続いています。
この中では、車両やドライバーの安全管理のあり方やドライバーの雇用形態などが論点となる見通しで、政府は6月に向けて議論を進める方針です。
課題のひとつ「安全な運行の確保」
ライドシェアのサービスを進めていく上での課題の1つが安全な運行の確保です。
ライドシェアのドライバーはタクシーの運転手と異なり第二種運転免許がなくても運行できます。ただ、安全を確保するためにドライバーは直近2年間、無事故であることなどが条件となっています。
また、タクシー会社が車両の整備を行うほか、タクシーのドライバーと同じ水準の研修を実施することが求められています。
事故が起きた場合の最終的な責任もタクシー会社が負うことになっていて、タクシー事業と同等に対人で補償額8000万円以上、対物で200万円以上の任意保険などに加入しなければなりません。
ドライバー確保、乗客とのトラブル防止も
一方、ライドシェアのドライバーをどれだけ確保できるかという懸念も聞かれます。
ライドシェアはタクシーを補完するサービスとして位置づけられているため、運行できる時間帯が限定されるほか、収入などの待遇面も含めてどれだけ関心を持ってもらえるかも今後の課題といえます。
さらに、乗客とドライバーの間で支払いなどをめぐるトラブルをどう防ぐかも重要な点です。
今回のサービスでは、トラブルを未然に防ぐため、サービスの利用はアプリで車を予約する場合に限定していて、事前に目的地や運賃を確定させ、支払いもアプリを使った原則、キャッシュレスで行う仕組みとなっています。
“自家用有償旅客運送”制度の拡充
都内で始まった「日本版ライドシェア」と同様に、一般のドライバーが自家用車で人を運ぶ別のサービスもあります。
「自家用有償旅客運送制度」です。
人口減少などを背景にバスやタクシーといった移動手段の確保が難しい地域などが対象です。
自治体やNPOなどがサービスを運営し必要な講習を受けた一般のドライバーが地元住民と観光客を対象に有料での送迎を行うことができます。
国土交通省によりますと移動手段の確保が難しい地域のサービスについては去年3月の時点で(2023年)全国で698の団体、あわせて4428台の車両が登録されています。
去年12月、夜間にタクシーが確保できず移動が難しい場合なども有料での送迎を認めるなど、制度が拡充されました。料金の目安はタクシー運賃の8割程度に引き上げられました。
今後、需要によって料金を上げたり下げたりする「ダイナミックプライシング」の導入なども決まっています。
これを受けて、各地の自治体が事業に乗り出しています。
専門家「安全性がどの程度確保できるか評価する必要」
交通システム工学が専門の神戸大学の喜多秀行名誉教授に「日本版ライドシェア」のサービスについて聞きました。
「タクシー会社は、今すでに公共交通サービスを担っているわけでその構造を急に変えることは雇用が減るなど、いろいろな問題が発生する可能性もある。タクシー会社の管理下で行う今回の取り組みは第一歩としては評価できる」
そのうえで、運行の安全性については。
「新たなドライバーにも研修の受講が求められているがこうした政府の施策で安全性がどの程度確保できるのか運用が始まってから評価する必要がある」
このように述べて、今後の検証が必要だという認識を示しました。
また、6月に向けて議論が行われるタクシー会社以外の参入を認めるかどうかについては次のように指摘しています。
「新規か既存かもさることながらより良い公共交通サービスの実現に寄与できる事業者を社会的な観点から選ぶことが大事だ」
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