梅雨の時期、ジメジメしてくると悩みの種となるのが、家の中で発見するカビや、どこからともなく現れる虫ではないだろうか。湿気が多い季節は、カビが繁殖しやすく、虫も活発になりやすい。
カビが発生しやすいのは、温度が20度~30度、湿度が60%~80%だ。多くの地域では6月頃がカビの好む気象条件となってくる。
この記事の画像(11枚)また、栄養源があることもカビが繁殖する要因となる。栄養源とは、ホコリ、繊維、食べカス、皮脂汚れなどである。
6月から活発になる蚊、ダニ、コバエなど
心配なのはカビだけではない。6月は湿気が多く、ムシムシしてくるので虫も活発になる。
とりわけ困るのが蚊の存在だ。蚊は温度が15度以上で現れ、26度~32度で活発になる。ちょっとした水たまりがあればどこでも産卵・繁殖するため、梅雨時は特に注意が必要である。
鬱陶しいコバエは温度が25度~30度、湿度70%の場所で多く繁殖する。外からの侵入だけでなく、生ゴミや飲み物が残った空き缶などからも発生する。
噛まれると腫れや湿疹、痒みなどを引き起こすともされるダニだが、ダニが好むのは温度20度~30度、湿度65%以上の場所だ。ホコリやフケなどをエサに育つ。
できれば出くわしたくないのがゴキブリだ。特に温度25度~30度、湿度75%以上の場所はゴキブリにとって最高の環境である。冷蔵庫の裏など温かくジメジメとしたところに潜むようだ。
カビ・虫対策(1):換気や除湿
湿気を好むカビや虫対策には室内の換気が必須だ。窓を開けて室内の湿気を逃がすことによってカビや虫の発生や繁殖を防ぐことができる。エアコンのドライ機能や冷房でも室内の湿度を下げることができるので上手く活用したい。
また、梅雨の晴れ間は屋外の湿度がぐっと下がるため、極力窓を開けて換気すると良い。押し入れやクローゼットも忘れずに開けて換気しておきたい。
浴室も毎日換気をしっかりして、カビやコバエの発生を少しでも抑えたい。入浴後は、浴室にシャワーをかけて洗い流し、ドアを閉めて換気扇を回すと乾きやすい。
カビ・虫対策(2):定期的な掃除
室内の掃除をこまめにすることもカビや虫対策には大切である。家具の裏側や壁の隅などはカビが発生しやすい場所なので清潔さを保つようにしよう。家具やカーテン、家電製品などが壁に近いと感じたら、壁から離して配置する。これによって風通しが良くなり、カビの繁殖を防ぐことができる。
他にも重点的に掃除しておきたいのは排水溝やゴミ箱周辺などだ。ゴキブリは、生ゴミや汚れが大好物のため、きちんと処理しておこう。コバエの対策にもなる。ゴミを片付けて虫が隠れやすい場所を減らすことが、虫の発生を抑えることに繋がる。
甘いものや油分の多い食べ物は様々な虫にとって好物である。虫は食べ物に寄ってきやすいため、密閉容器に保管することで侵入を防げる。また、食べ物は置いたままにせず、早めに冷蔵庫などに入れよう。
観葉植物のカビや虫に注意
カビや虫に気をつけたいのは、食べ物や室内のスポットだけではない。観葉植物を育てているなら、蒸し暑い季節は植物の管理がより大切になってくる。
湿気は観葉植物にとっても大敵だ。カビや虫の発生原因となり得るため、置き場所に配慮する必要がある。風通しの良い場所に置くことで、湿気がこもるのを防ぐことができる。
観葉植物にとって快適な温度・湿度は?
観葉植物の種類にもよるが、一般的には気温が15度~25度、湿度は40%~60%の範囲内で多くの植物が健康に育ちやすいとされている。
湿度が40%未満だと植物は乾燥しやすく、葉が枯れたりする可能性がある。一方で、湿度が60%を超えるとカビの発生リスクが高まるので注意が必要だ。
植物にとって快適な温度や湿度を保つために、温度計や湿度計を用意して管理するのがおすすめだ。ただ、観葉植物の最適な温度や湿度は、その植物の自生地によっても変わってくる。このため、育てている観葉植物の自生地が、湿度が高めの熱帯や亜熱帯地域なのか、雨の少ない乾燥している地域なのかなど知っておくとより良い。
適切な水やりで防カビ・防虫
観葉植物のカビの原因の1つに水のやり過ぎがある。土の表面が乾いてから水やりをしよう。植木鉢は鉢底穴のあるものを使用すると、水やりによる余分な水分を排出してくれる。
また、肥料のやり過ぎは必要以上の栄養を与えてしまうことになる。カビは水分や栄養をもとに繁殖してしまうので注意したい。
植物についたカビや虫の対処
もし植物にカビが生えてしまったら、カビが生えた部分を切り取る。応急処置として、アルコールを含んだ布やキッチンペーパーでカビを拭き取る。その後、乾燥させるために風通しの良い場所に移動させ、日差しが差し込む明るい場所に置くようにしよう。カビは太陽光が苦手である。ただ、長い時間、日なたに置くと葉が枯れる心配もあるため、朝か夕方などの比較的短い時間にするのがおすすめだ。
カビだけではなく虫も定期的に確認しよう。葉の裏や茎の付け根など、虫が隠れやすい場所をチェックする。もし虫を見つけたら手やピンセット、割りばしなどで取り除く。霧吹きなどを使い、葉や茎を水で洗い流すことも効果的だ。
防虫剤の使用も良い。天然由来のニームオイルは多くの虫に効果がある。また、市販の観葉植物用防虫スプレーを使用する場合は、使用前に植物に適しているかを確認する。
虫の発生を抑えるためにも植物の周りは清潔にし、枯れた葉や花を取り除くのも大切だ。このような対策をしていくことで、観葉植物を健康に保ち、カビや虫の発生を防ぐことができる。
外からの虫の侵入を防ごう
室内の虫対策に加えて、外からの侵入も防ぎたい。対策としては、窓やドアの隙間を塞いだり、虫除けネットを設置したりする。殺虫剤や虫除けグッズ、お香なども併せて使用すると相乗効果がありそうだ。
また植物や草木などを適切に管理し、家の周囲を清潔に保つことも大切である。蚊やコバエなどの発生や繁殖を抑えるために、使っていない植木鉢の受け皿などは雨水がたまらないように片付けよう。ベランダや側溝もこまめに掃除して、水はけをよくしておくと安心だ。夜間は光に虫が寄ってくるため、虫除けランプを設置するなどの対策もある。
更にエアコンからの侵入を防ぐために、室外機とエアコンを繋ぐホースにネットやストッキングをつけるのもおすすめだ。
カビや虫対策として、部屋の温度は25度前後、湿度は50%前後に保つのが望ましい。見やすい場所に温度計や湿度計を置き、必要に応じてエアコンや扇風機などを利用しよう。また、定期的に掃除や換気を行うことによって人や観葉植物にとって快適で健康的な環境を保つよう心がけたい。
【執筆:日本気象協会】
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