中学受験を目指す小学6年生にとって、夏休みはまとまった勉強時間がとれる貴重な期間。
またスポーツに励む子どもたちにとっても、小学生最後の試合などを控え、暑い中で日々練習をしているだろう。
特に長期休暇は生活リズムや睡眠リズムが乱れがちになる。
小児科医、小児神経科医・熊本大学名誉教授の三池輝久さんが監修を務めた、愛波さんの著書『忙しくても能力がどんどん引き出される 子どものためのベスト睡眠』(KADOKAWA)から、睡眠の質がよくなる、子ども部屋の環境整備について、一部抜粋・再編集して紹介する。
寝室と勉強部屋を分けてみる
6年生は小学生最後の夏休みだからこそ、塾では合否判定のテストや、志望校別のオプション講座などが頻繁に行われ、そのテスト結果や長時間の勉強に子どもたちはストレスを受けている可能性があります。
また、お友達同士の会話などで「合否」の言葉が飛び交い、心配性な子はなかなか寝付けないという状態に陥る場合があります。
子どもがよく眠れていない、不安そうな声を漏らしている…そんな様子がうかがえるようなら、思い切って寝る部屋と勉強をする部屋を分けてください。
この記事の画像(5枚)寝る時だけはストレスを感じず、脳と体の回復と休息の時間にしてほしいのです。
でも、もしベッドの隣に勉強机があって、そこにテキストなどが並んでいたらどうでしょう。
「今日はあれができなかった」など思い悩んでしまい、場合によっては睡眠時間を削って勉強を再開してしまう子もいるかもしれません。
勉強部屋と寝室を分けることが厳しいようなら、机やテキストが見えないように黒い布をかぶせるなど工夫をしてあげましょう。
デスクライトにも要注意!
スマホやテレビなどがブルーライトを出しているということはお話をしましたが、実は子どもの机にあるデスクライトにもブルーライトを発しているものがあります。
スマホなどは夜は見ないように管理するとして、良かれと思ってつけているデスクライトのせいで寝る直前までブルーライトを浴びていることになります。
勉強中はデスクライトからの光に加え、参考書やノートの白い部分がブルーライトを反射して、それも目に入ってくるので、さらに影響が強くなります。
ブルーライトカットのデスクライトは、安価で購入することができます。寝る前のブルーライトを排除してスムーズに入眠できるように、デスクライトを替えてもいいかもしれませんね。
子ども部屋の照明は切り替え式に
寝る前に部屋全体の明かりを暗くすると自然と体が睡眠モードになっていくことはお伝えしました。
子どもの睡眠が勉強部屋を兼ねている場合、勉強に向いている「昼白色」の光は睡眠前には明るすぎます。
子ども部屋の照明が睡眠にぴったりの明るさの「電球色」と、勉強用の「昼白色」に切り替えができるものだと便利です。
勉強を終えて、寝る準備をする時には「昼白色」から「電球色」に替えることで、子どもの脳が「そろそろ寝る時間だな」と認識をして、リラックスした状態で入眠できるはずです。
起床は夏の太陽を味方にして
なかなか目覚めない子どもを起こすのもストレスですが、眠たいのに無理やり起こされる子どももストレスを感じています。
特に中学受験をする子どもたちは夏休みの間、1日平均7時間、多い時は10時間程度勉強すると言われています。
また、運動をしている子どもたちも暑い中で長時間活動をして体力の消耗が激しいので、寝ることは彼らにとって至福の時間で、朝寝坊ができる夏休みは最高にうれしいはず。
でも、ここで朝ゆっくり寝てしまうと体内時計のリズムが狂ってしまいます。
なるべく自然に近い形で、ストレスなく起こすためには「夏の太陽光」を利用するといいでしょう。夏は太陽が昇るのが早いため、朝起きる時間の前からかなり明るい状態です。
子どもが寝ている時間は光に妨害されないように遮光カーテンで光をしっかり遮り、起床時間の少し前からカーテンを開けてあげましょう。
自然光を入れることで無理やり目覚ましのアラーム音や親に起こされるのとは違い、自然に目覚め、スッキリ起きられます。
親子で毎朝バトルが起きているようなら、夏休みの期間に自然光を味方にして、上手に朝型にシフトする準備をしてみてはどうでしょうか。
なお、冬になると寒くなり布団から出るのが辛くなるのに加え、太陽が昇るのが遅くなるのでせっかく朝型にしたにもかかわらず、朝起きるのが遅くなる場合もあるでしょう。
そんな時には「光目覚まし」の利用も効果的です。
起床時間の少し前から目覚まし時計に搭載されているライトが徐々に光り始め、起床時間には太陽光と同程度の明るい光を照らしてくれるものです。夏の太陽の光のように自然に目覚めるサポートをしてくれます。
思い切ってテレビなし生活
子ども部屋ではありませんが、テレビという存在を排除するのも質の良い睡眠はいいと思います。
学校がないとどうしても時間にルーズになってしまい、塾から帰宅後、ごはんを食べながらだらだらとテレビを見てしまうこともありますよね。
テレビは子どもの勉強時間と睡眠時間を奪う大きな原因です。
受験期間だけでもテレビなし生活を送ってみてはいかがですか?
テレビに大きな布をかぶせて、その存在を消してしまえば、そのうちテレビがないことに慣れてくるはずです。
どうしてもテレビが見たい、小さいきょうだいがテレビを見たがるということであれば、寝る1時間前には必ず見るのをやめさせてください。
夏休みを返上して頑張っている子どもたちを応援するためにも、ブルーライトの影響や、刺激のあるコンテンツなど、睡眠によくない要素が詰まったテレビをせめて受験が終わるタイミングまでやめることを、家族で一度話してみましょう。
著:愛波あや
慶應義塾大学文学部教育学専攻卒業。外資系企業勤務後、拠点をアメリカ・ニューヨークに移し、2014年に米国IPHI公認資格(国際認定資格)を日本人で初めて取得。現在、IPHI日本代表、Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役。著書に『ママと赤ちゃんのぐっすり本』(講談社)、『マンガで読む ぐっすり眠る赤ちゃんの寝かせ方』(主婦の友社)がある。2児の母
監修:三池輝久
小児科医、小児神経科医。熊本大学病院長、日本小児神経学会理事長、兵庫県立リハビリテーション中央病院「子どものリハビリテーション睡眠・発達医療センター」センター長などを経て、現在は熊本大学名誉教授、日本眠育推進協議会理事長。著書に『赤ちゃんと体内時間 胎児期から始まる生活習慣病』『子どもの夜ふかし 脳への脅威』(ともに集英社)など
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