児童の学校嫌いにつながるとされる和式トイレについて、奈良県田原本町は今夏、町立田原本小学校の9基を洋式化する。改修費400万円を計上した予算案が13日、町議会で可決された。同小校舎は2028年度末までに解体予定のため、実際に使うのは4年半だけになるが、町内で児童の不登校が急増しており「教育問題は待ったなし」とする高江啓史町長の判断だ。【皆木成実】
田原本小のトイレは71基中、半数近い34基が和式。町立小の中では洋式化が遅れ、新入児童から「暗い、怖い」と和式を嫌う声が上がっていた。このため1、2年生と特別支援教室近くの9基を今回洋式化する。一方で、町は田原本、東、北の3町立小を統合して田原本小敷地内に新校舎を整備し、29年度に開校する計画を進めている。事業費は約74億円。現校舎は解体する予定だ。
NPO法人「日本トイレ研究所」(東京都)の22年全国調査によると、和式を「使用できない」と回答した1~6年生は26・7%に上った。一方で全国の公立校校舎は老朽化が進み、新設時は標準だった和式が多く残る。文部科学省の23年度調査によると、県内の公立小中学校の洋式化率は47・8%と全国平均(68・3%)を下回る。
トイレを我慢することで体調不良が起こり、不登校にもつながるとして文科省は近年、全国の学校トイレの洋式化を推進している。ただ少子化の影響で学校統廃合も進んでいるため、新校舎整備まで完全洋式化を「我慢させる」ケースも多い。
全国的な傾向と同じく、田原本町内の小学校の不登校児童数も急増しており、23年度は51人と前年度の3倍。高江町長は「学校を『ワクワクする楽しい場所』にする。不登校にはさまざまな要因があるだろうが、慣れない和式トイレが新入児童のストレスになっていることは明らかで、改善したい」と話している。
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