温室効果ガスの削減に加え、電気料金の節減に役立つ「省エネ家電」。家庭向け電気料金が今月使用分(7月請求)から大幅値上げになるのを機に、買い替えを検討する人もいるだろう。買い替えのポイントと行政の補助制度を探った。(有賀博幸)
一般財団法人 家電製品協会(東京)によると、家電の省エネ性能は、日本独自の基準設定方式「トップランナー制度」により大きく向上している。2022年モデルの年間(期間)消費電力量は12年モデルに比べ、エアコンは15%、冷蔵庫で35~42%削減。照明器具(天井取り付けタイプ)は、発光ダイオード(LED)への取り換えで50%減っている。これに伴い年間電気代はエアコンで4120円、冷蔵庫なら年間4560~6110円節減が可能になった=グラフ。
量販店などで省エネ家電を選ぶ際の目安となるのが、製品本体やカタログに表示されている日本産業規格(JIS)の「省エネルギーラベル」だ。緑色ならトップランナー基準の達成を、オレンジ色なら未達成を示す省エネ性マーク▽省エネ基準達成率▽エネルギー消費効率を記載する。さらに、「統一省エネラベル」=写真=では、これらの情報に加え、星の数と、1・0~5・0の0・1刻みの41段階に分けた評価点で省エネ性能が表示され、分かりやすい。年間の目安電気料金も記されている。 買い替えの判断材料に役立つのが、環境省のサイトにある省エネ製品買い替えナビゲーション「しんきゅうさん」。現在使用する製品の購入年、容積や部屋の広さ、メーカー、型番を入力。続いて買い替えを検討する省エネ製品の情報を入力すると、消費電力量、電気代、二酸化炭素(CO2)排出量をどれだけ減らせるか、簡単に比較できる。
◆購入 補助する自治体も
省エネの推進と家計負担の軽減のため、東京都や三重、富山、福井県などは、節電効果が高いエアコンや冷蔵庫といった機器を対象に購入補助制度を設けている。 東京都は「東京ゼロエミポイント」を付与する事業を2024年度も継続。ポイント数に応じて商品券とLED割引券に交換できる。今年10月からは、登録事業者で購入する際、ポイント相当分を直接値引く方式に変更。製造から15年以上経過したエアコン、冷蔵庫を買い替える場合は通常より支援を上乗せする。都家庭エネルギー対策課の担当者は「より多くの人が使いやすい制度にし、CO2削減を後押ししたい」と話す。 三重県は、脱炭素社会を目指す国民運動「デコ活」に倣い、「みえデコ活!」と銘打った省エネ家電購入応援キャンペーンを展開中。県内の推進協力店で対象製品を8月末までに購入した県民に、最大20%のキャッシュレスポイントなどを還元する。 独自に補助制度を設けている市町村もあり、省エネ家電購入を検討する際は居住する自治体に確認したい。
<トップランナー制度> 省エネ法が指定する特定機器の省エネ基準を、基準の設定時に商品化されている製品のうち、最も優れている機器(トップランナー)の性能以上とする制度。事業者は目標年度までの達成が求められる。対象となる特定機器は乗用車、テレビ、エアコン、冷蔵庫、照明器具など32種類。
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