わなで捕獲した猫を川に沈めて殺したとして福岡県警が24日、行橋市の農業男性(66)を動物愛護法違反容疑などで地検行橋支部に書類送検した。動物を虐待したとして同法違反で検挙された件数は全国で増加傾向にあり、2023年は過去最多の181件(前年比15件増)に上る。動物保護に取り組む団体からは「検挙は氷山の一角」との声も上がる。
「自分より力の弱い者を『邪魔だから』と攻撃している」。事件を受け、保護動物の避妊去勢手術などに取り組むNPO法人アニマイル(埼玉県)の池野千佳子理事(57)はこう批判を強めた。
県警によると、送検した男性は「猫のふん尿による悪臭や、アライグマによる農作物被害に困っていた」と供述。池野さんのNPOにも、同様の理由で捕獲器を設置して殺害されたり、毒入りの餌を食べさせられたりする被害相談が、保護ボランティアらから毎月のように寄せられるという。
警察庁によると、動物虐待の疑いによる検挙は14年は48件だった。しかし、改正動物愛護法が成立した19年から検挙件数は100件を超えた。同法は20年6月から段階的に施行され、罰則強化や、「過剰繁殖」で適正な飼育が困難になると予想される場合は不妊・去勢手術などをするよう飼い主に義務付けた。
動物愛護への関心の高まりとともに、同法違反の検挙件数は23年までの10年間で4倍近くまで増加。23年の検挙件数を動物種別でみると、猫(97件)と犬(65件)で9割近くを占め、馬や牛、カメなどの被害もあった。
内容別では、遺棄が74件、餌を与えないなど劣悪な環境で飼育する虐待が61件、殺傷が46件と続く。検挙のきっかけは住民ら第三者の通報が118件(前年比27件増)だった。
池野理事は「違法行為の認識があっても『ばれない』と思ってやっている人が多いのではないか。警察の摘発が抑止につながるはずだ」と話している。【佐藤緑平】
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