7月3日の新紙幣発行を前に、民間調査機関のしゅふJOB総研(東京都新宿区)が主婦層を対象に実施したアンケート調査によると、約4割が新紙幣発行で現金を使う機会が「減る」と回答した。紙幣刷新は約20年ぶり。この間に加速したキャッシュレス決済の流れをさらに強めることになりそうだ。
43.9%「現金を使う機会減る」
新しい紙幣に変わることで、現金を使う機会に変化はあるかを尋ねたところ、51・0%が「変化はない」とする一方で、「減る」との回答が43・9%を占めた。「増える」は3・2%と少なかった。
経済産業省によると、国内のキャッシュレス決済比率は2010年の13・2%から23年は39・3%まで増加している。政府は将来的に世界最高水準の80%を目指すとしており、今回の調査でも「キャッシュレス化が進むと思う」という意見が寄せられた。
仕事や生活への影響はどうか。「仕事にも生活にも影響はない」(62・5%)との声が圧倒的だったものの、「仕事にも生活にも影響あり」(12・5%)▽「仕事に影響あり」(10・0%)▽「生活に影響あり」(15・0%)など新紙幣効果を見込む人も少なくないようだ。
発行自体に疑問を感じる人も
自由回答では、偽造防止などメリット以上に、発行に伴う弊害を懸念する声が目立った。券売機や自動販売機などの対応の遅れが指摘される中、「使う際に不便を感じないか」といった意見や、新札に対応した機械の更新費用など事業者の負担増を指摘する人も。「キャッスレスが進む中、税金を使い変更する意味は一体なんだろうか」と新紙幣の発効自体に疑問を感じる人もいた。
しゅふJOB総研の川上敬太郎・研究顧問は、お札を持ち歩く必要性が薄れている一方で、キャッシュレス決済のシステムトラブルなどで「時に深刻な事態を引き起こすこともある」と指摘。「便利さとリスクは表裏一体で、ネットワーク社会におけるお金の在り方を考える必要性が高まっている」としている。
調査は求人サイト「しゅふJOB」の登録者を対象にインターネット上で5月に実施し、408人から回答を得た。【嶋田夕子】
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