暑さも本格的になってきた今の季節。大切な家族の一員であるペットの熱中症対策も忘れてはいけない。

日本気象協会の調査(2019年)では、犬の飼い主325名のうち4人に1人が、愛犬が熱中症にかかったことがあった。それにもかかわらず、5人に1人が応急処置方法を知らなかったという。 

人間と同様、ペットも熱中症が重症化すると死んでしまうこともあるので、正しい知識を身に付けておきたい。

日本気象協会が犬猫の熱中症予防と応急処置の方法を紹介しているので、要点をみていこう。

犬の散歩時の熱中症予防

犬の熱中症予防でまず気を付けたいのは散歩時だ。この調査では、愛犬が熱中症にかかった場面で一番多かったのは、「日中、散歩している時」(44.3%)で、半数近くに上った。

どのような場面で熱中症にかかったか?(画像提供:日本気象協会「熱中症ゼロへ」)
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地面から近いところを歩く犬は、気温以上に地面の熱の影響を受ける。散歩の際は日中の暑い時間を避けることが大切だが、朝夕の涼しい時間帯でも、アスファルトを触って温度のチェックをしてほしい。熱かったら冷めるまで待ってから出かけよう。

どうしても暑い時に外出しなければならない場合は、以下の点を実践してほしい。

・こまめな給水を心がける
・時には体表(喉から首、胸、内腿を含めたお腹全域)に水道水をかけ流し、さらに扇いで風を送る

屋内と車内での熱中症予防

環境次第では、室内でも犬や猫は熱中症にかかる。調査では、愛犬が熱中症になった場面の散歩の次は「室内で過ごしている時」(29.1%)で、「屋外で過ごしている時」(24.1%)より多かったのだ。

犬や猫を飼っている人は、室内では次の点を実践してほしい。

・室内の温度は26℃以下を維持する
・風通しを良くしておく
・ペットが自由に居場所を選択できるようにしておく

車の中は温度が上がりやすいのでペットを放置しないように(画像はイメージ)

また、温度が上がりやすい車の中も要注意。車を利用する人は必ず以下の点を守ってほしい。

・外気温が25℃を超える環境下で、閉め切った車の中にペットを置かない(活動的な犬や興奮しやすい犬の場合、さらに低い気温でも熱中症のリスクがある)
・車の中では自由に水を飲めるようにしておく

見逃さないで!熱中症の症状

ペットが熱中症になった場合は、素早い対応がカギとなる。治療が遅れた場合、最悪は死に至ることも。ペットの異変にいち早く気づくために、熱中症の症状を覚えておこう。

【初期症状】
ハアハアという激しい呼吸(パンティング)、よだれ、粘膜(歯肉や舌、結膜など)の充血やうっ血、頻脈など

【重篤化した場合】
虚脱(ぐったりとして意識がない)、嘔吐下痢、ふるえ、意識消失、けいれん発作、ARDS(急性呼吸促迫症候群:肺が炎症を起こし呼吸が困難になる病気)

いざというときの対応

上記のような症状があり熱中症が疑われたら、次のように対処してほしい。

・可能であればなるべく体温測定をする(直腸で測定すると良い) 。40℃を超えている場合には熱中症の疑いが濃厚となる。

・直ちに動物病院を受診する。治療が遅れると最悪死に至るため、症状が現れてから90分以内を目安に治療する。

・応急処置としては、全身に常温の水道水をかけて冷却する。または水道水で濡らしたタオルなどで包み、涼しい場所で風を送る。

この時、早く体温を下げようとして冷水や氷、アイスバッグを用いて急激に冷却すると、末梢血管が収縮し、温度の高い血液が各臓器へと流れていってしまうという。深部体温が下がらず、かえって熱が発散しにくくなり逆効果となるので注意してほしい。

熱中症になりやすいペットたち

最後に、特に熱中症になりやすい犬種・猫種を紹介する。

まず、犬は猫に比べ、 散歩をはじめ屋外での活動量が多いため、全体的に熱中症になりやすい。

“鼻ペチャ”の品種は犬猫ともに熱中症リスクが高い(画像はイメージ)

品種では、鼻が短い「短頭種」 はリスクが高く、犬ではフレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーなど。猫の場合はペルシャ、エキゾチックショートヘア、ヒマラヤンなど。

その他、
・肥満
・呼吸状態の悪化を招きやすく、体温上昇に直結し、かつ脱水状態を引き起こすような病気を患っている
・認知機能不全症候群に陥っている高齢動物
といった場合も通常より危険性が高まる。

言葉で体調不良を訴えることができないペットをケアできるのは飼い主だけ。暑い季節は熱中症予防を徹底してほしい。

(日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト より)

日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」https://www.netsuzero.jp/

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