特集は中学生が作る「タバスコ」です。長野県大町市の中学生が地域おこしを目指して自分たちで唐辛子を栽培、2023年、商品化しました。飲食店でも重宝されていて、地域で広がりを見せています。
■名産品を作って地域おこし
大町市の大町中学校。
この日、調理室には大量の唐辛子がー。
作業をしたのは特別支援教室「こぶし学級」の生徒8人や社会福祉協議会のメンバー。
1年生:
「辛い」
作っているのは、タバスコです。
大町のタバスコ「マチスコ」の名で本格的に売り出しています。
一連の取り組みを提案したのは「こぶし学級」の担任・田中祐貴教諭(45)です。
田中祐貴教諭:
「中学生にできる地域おこしをテーマに据えて、何か名産品を作って大町市を元気にしようと始まりました」
■学校近くの畑で唐辛子を栽培
田中教諭は前任校で唐辛子栽培を経験していて「大町でも」と、3年前から学校の近くに畑を借り「八房唐辛子」の栽培を始めました。
生徒は種まきから収穫までシーズン中は週6時間、農作業をしてきました。
3年生・野沢裕紀さん:
「(栽培は)だいぶ苦労する、虫とかいっぱいあるからやばい。楽しいっちゃ楽しいけどちょっとだけ厳しい」
商品化の一つとして考えたのが「タバスコ」。2022年、地域で作ってる人に教わり、試験的に、イベントや授業参観で販売しました。
これが好評で、2023年6月、保健所の製造許可を取って「マチスコ」作りを本格化させました。
これまでに約1500本作っています。
田中祐貴教諭:
「これ(唐辛子)をここに満タンになるまで入れて」
この日も、2023年に収穫し乾燥させてきた唐辛子で「マチスコ」を作りました。
まず、ミキサーで粉末状にし、塩を混ぜあわせます。
さらに自分たちで育てたニンニクとリンゴ酢を入れてミキサーにかけます。
できたてを味見ー
1年生・中村光希さん:
「辛い(おいしい?)おいしいけど辛い」
瓶に詰めてラベルを貼ったら「マチスコ」の完成です。
■活動を通じて生徒が成長
マチスコ作りや販売を通じて、様々な人と接する生徒たち。田中教諭は成長を実感しています。
大町中学校・田中祐貴教諭:
「入学当時はなかなか人と話できなかったり、苦手意識があったけど、『マチスコ』を作る中で、地域の人や社協の方と協力していくと、自然と会話もできますし、販売で外に出るとお客さんとお話をして、どんどんコミュニケーションの力は伸びてきた」
生徒はー
1年生・横沢櫂翔さん:
「暇ではないね、授業よりはまだまし」
1年生・中村光希さん:
「楽しかったです。おいしいって思いで食べてほしい」
3年生・野沢裕紀さん:
「(人と関わるのが)だいぶ苦手だったけど今は全然大丈夫。(勝った人にはどんな思いで食べてほしい)自分たちの作った苦労をかみしめてもらいたい」
■好評!直売所やスーパーで販売
マチスコは現在、市内の直売所やスーパー4カ所で販売されています。
2023年9月に扱いを始めた直売所「ええっこの里」。ひと月で平均20本は売れているということです。
ええっこの里・松井功光店長:
「辛みもちょうど抑えられていて、炒め物とかカレーも使えると好評」
買った人(市内):
「すごいと思います。『大町何ありますか』って聞かれた時に、いつもえーとっていつも考えちゃうので、これだったら中学生が頑張って作ったタバスコですよと紹介できると」
■「マチスコ」を飲食店も利用
こちらは市内のクレープ店「Mirus Meal」。
マチスコを使ったメニューを提供しています。
米粉の生地を焼いてマチスコを塗り、サニーレタスやソーセージを乗せます。
ソーセージに「追いマチスコ」をして、ブラックペッパーとオリーブオイルをかけたら、ホットドッグ風クレープの完成です。
松本市から:
「おいしい。このくらいの辛さならちょうどいい」
安曇野市から:
「抜けがいい、また食べたくなる辛さです」
当初は期間限定メニューのつもりでしたが、好評につき、定番メニューにしたということです。
Mirus Meal・梶原美瑠さん:
「新感覚のクレープとして好評いただいてる。若い子たちが作って、こんだけおいしいものができるのがすごいなと思って。地元の方も観光の方も喜んで広まっていけばいいな」
■フランス料理店でも
マチスコは「フレンチ」にも。
こちらは市内のフランス料理店「クレット」。3月からコース料理のアミューズに「マチスコ」を使っています。
クレット・松島正幸オーナーシェフ:
「とてもうま味も強く、お肉も魚も野菜も何にでも合うタバスコ」
配膳:
「大町のタバスコ、『マチスコ』でマリネしました合鴨と上が山ウドのエスプーマでございます」
市内から:
「おいしいです。非常に良かったです、ちょっとスパイスが効いたような感じで」
中学生が作ったタバスコと聞いてー
市内から:
「よくここまでやってると思って、子ども達が考えてすごいです。普及していったらいいですね」
■子どもたちの自信や励みに
好評の「マチスコ」に続き、「こぶし学級」は第2弾の商品、一味唐辛子の「チリペンくん」も考案。今後、販売を本格化させます。
地域おこしにつながればと始まった取り組みは今、子どもたちの自信や励みになっています。
大町中学校・田中祐貴教諭:
「子どもたちが唐辛子を育てて、『マチスコ』は社協の方とか、地域の方も一緒に作り始めて、地域の名産品になればいいなと思う。マチスコを通していろんな方の横のつながりが増えていけば」
生徒:
「僕たちが作ったマチスコをぜひ食べてください」
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