能登半島地震から半年。復旧・復興が進む一方で、いまだに多くの人が避難所での生活を余儀なくされている。「災害時の生活」について改めて考える。秋田市の日本赤十字秋田看護大学・短期大学では、学生たちが避難所での生活を体験し、いざという時に何ができるか考えた。

能登半島地震から半年。この地震で299人の尊い命が奪われた。仮設住宅の建設が進むなど復旧・復興に向けた動きがみられる一方で、まるであの日のまま時が止まっているかのような地域もある。

日赤秋田短大の講師・及川真一さんは、「体育館から仮設住宅に移った人は結構いるが、まだ体育館や公民館などの避難所で過ごしている人が多い」と現地の状況を話す。

日赤秋田看護大・短大は、地震や津波発生時の秋田市の「指定避難所」となっていて、災害時には避難者を受け入れている。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「うちの学生は介護福祉士と看護師を目指している。将来的には誰かを救う立場になるということで共通しているので、誰かを救う前に自分が生きなければならない。災害時に生きる方法を学ぶ」

そんな学校の恒例行事となっているのが「防災キャンプ」。学生が2日間校内に寝泊まりし、避難所のつくり方や炊き出しなどを自ら考え、学ぶ場だ。

災害時に支援活動などにあたる学校の「防災ボランティアステーション」の代表を務める及川真一さんが指導にあたる。

及川さんは「楽しみながら学べるのが防災キャンプ。災害が発生すると誰もがアウトドアの世界に放り出される状況下で、どうやって道具を使い、スキルを身に付け、生きる方法を学ぶのが防災キャンプ」と語る。

学生たちが初日に取り組んだのは「避難所づくり」だ。

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「今回、エアーテントにエアコンを設置した。特殊なものではあるが、環境を整えていくことも避難所の備蓄とすれば必要になるので、学生たちに体験してもらう」

「救護所」などとして使う大型のテント。空気を入れて使用するため、難しい組み立て作業がいらないほか、冷房機能が付いている。夏場の避難所では「熱中症」をいかに防ぐかが課題となっていて、今後の備蓄の一つとして注目されている。

また、避難所で欠かせないのが、避難してきた人たちが休息を取る場所だ。一般的なのは段ボールベッド。複数の段ボールを組み合わせて作る。学生たちは協力して組み立て、レイアウトを考えながら配置していた。

 介護福祉学科1年生:
「災害時に役に立てばと思って参加した。段ボールベッドに寝てみたが硬くて、避難所で使っていると聞いたのですごいなと思った」

アウトドア用の簡易ベッドも活用が広がっていて、一人で簡単に組み立てることができるものもある。

このほか学生たちは、大きな炊き出し用の鍋での調理を体験したり、完成した避難所で実際に眠ってみたりしていた。災害時に自らの、そしてほかの誰かの命を守りつなぐすべを身に付けようと、真剣に取り組んでいた。

 看護学科2年生:
「一人でできることは限られてくるので、協力しながらやっていくことの大切さを感じた。災害医療に携わりたいと考えているので、何かしらの形で生かしていきたい」

 日赤秋田短大・及川真一さん:
「防災キャンプに参加した人たちは経験を積んだ。例えば、段ボールベッドの設営は難しい、重い、レイアウトが難しい、炊き出しなど。さらに日中は、かなり暑い中での活動になった。そういうときの自分の体調の確認など経験を積んだ。想像は裏切るが、経験は裏切らない。経験値が今後に役に立つ」

想像するだけではなく、まずはやってみる。それが命を守ることにつながる。

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