子宮頸がんのワクチン接種について、金沢市保健所の越田理恵所長に聞いた。

越田所長：
きょうは「お忘れなく！子宮頸がんワクチン接種」というテーマでお話します。実は明日以降、金沢市に住民票のある16歳から27歳の女性にこのようなハガキが届きます。

稲垣アナウンサー：
「９万円の接種費が無料」と書いてありますね。これは一体どういうハガキなんでしょうか？

越田所長：
これは「子宮頸がんを予防するワクチン」についてご理解頂き、接種をご検討頂くためのものです。日本では20代、30代の女性がかかるがんの圧倒的な第1位が「子宮頸がん」です。年間で約10000人が新たに子宮頸がんと診断され、約3000人の女性が亡くなっています。しかも、その割合は2000年以降高くなっていまして、2015年の調査では、20代～30代女性の子宮頸がん発症率は、四半世紀前の1990年に比べ
2.1倍となっています。

稲垣アナウンサー：
「がんを防ぐワクチン」があるというのはどういう事なんでしょうか？

越田所長：
これは、子宮頸がんのほとんどが、HPV（ヒトパピローマウイルス）というウイルスの感染が原因で起こるからなんです。このHPVの感染を防ぐワクチンがすでに開発されていまして接種することで子宮頸がんの発症を抑えることができます。現在国は、定期接種として、小学校6年生から高校1年生に当たる年齢の女子に対して、
無料で接種を行っています。

稲垣アナウンサー：
では、先ほどの接種呼びかけはどういう事なんでしょうか？

越田所長：
このワクチンは2013年4月に定期接種が始まったのですが、当時、接種後に体の痛みなどを訴える人が相次ぎ、2か月後の6月に厚生労働省が接種の積極的な呼びかけを
中止しました。その後、様々な「有効性」と「安全性」についての調査や検証によって、2021年に「ワクチン接種後の症状とワクチン接種との因果関係は認められない」との結果が出て、再び積極的な呼びかけが再開されるまで実に8年10カ月の空白期間が生まれてしまったのです。

稲垣アナウンサー：
その間に接種をしなかった人が、今回ハガキを送った「現在16歳から27歳の女性」
という事なんですね。

越田所長：
国は令和4年度から6年度までの3年間に限って、積極的な接種の呼びかけを中止
した期間の接種対象者に対して、特例として公費でこのワクチンを接種することができる「キャッチアップ期間」を設けました。実はこのワクチンは、最短でも6カ月の間に3回の接種が必要で、遅くとも2024年9月までに1回目の接種を終えないと、
キャッチアップ接種期限の2025年3月までに接種を完了することができないことになります。この期間を逃すと、ワクチンは自費、つまり有料になってしまうんです。

稲垣アナウンサー：
そのワクチンが「９万円」という事なんでしょうか？

越田所長：
そうです。現在一般的なHPVワクチン接種の価格は1回約3万円です。3回の接種で
9万円かかることになります。今回お送りするハガキには、このワクチンの説明と
接種を希望される方への情報、休日や時間外も含めて接種できる医療機関や接種券の申請方法などがコンパクトにまとめられています。ご覧になって、よくご理解の上、ワクチンの接種をご検討ください。

稲垣アナ：
若い女性にとっては命にかかわるお話ですので、ぜひご検討ください。もう一つ越田さん、先ほど「現在は小学校6年生から高校1年生に当たる年齢の女子に対し定期無料接種を行っている」と話していましたよね？この間で接種しないとどうなるんですか？

越田所長：
はい、有料になります。現在の高校1年生相当の方は、同様に今年の9月までに
1回目の接種を終えて頂くことをお勧めします。ちなみに金沢市の高校1年生相当、2008年生まれの女性は2012人いらっしゃいますが、昨年度末までに、ワクチンを接種している人は691人。3回の接種を終えている人はわずか281人です。ワクチン接種を完了していない高校1年相当の年齢の女性にも同じようにハガキをお送りしますので、接種を検討してください。そしてもう一つ、忘れないで頂きたいことは、「風疹の抗体検査」です。現在、風疹の予防接種を受けている割合が低い、すなわち抗体価が低い1962年4月1日から1979年4月1日生まれの男性を対象に、無料で抗体検査とワクチン接種を行っていますが、この特例も来年3月までの期限付きです。風疹は、妊娠20週までの妊婦さんが感染すると「先天性風疹症候群」という、心臓や、目や耳などに障害を持つ赤ちゃんが生まれる危険性が高くなります。妊婦さんを風疹から守るためにも、対象の方には検査と接種を忘れずにお願いしたいと思います。詳しいことはお住まいの市役所・町役場の予防接種担当の部署にお問い合わせください。

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