佐賀県武雄市の県立武雄青陵中で4日、キャリア教育講演会があり、独学でリストの難曲「ラ・カンパネラ」を習得した佐賀市のノリ漁師、徳永義昭さん(64)が、全校生徒約360人や保護者らを前に目標に向かって努力する大切さなどについて話した。【斎藤毅】
生徒「夢を見つけて頑張る」
徳永さんは52歳の時、テレビで見た「魂のピアニスト」と称され、4月に亡くなったフジコ・ヘミングさんの「ラ・カンパネラ」の演奏に衝撃を受け、同曲を約6年の猛練習の末に習得したことから「奇跡のピアニスト」と呼ばれている。今秋公開予定の映画「ら・かんぱねら」のモデルにもなっている。
徳永さんは、ピアノの先生をしている妻に「絶対弾けない」と言われて反骨精神からマスターしたことや、以前はノリの漁期以外はパチンコ店に入り浸っていたことなど自身の過去を振り返り、「弾けるようになれば今までと違う人生が待っていると思って始めた。自分に合った目標を見つけて努力することが大切」と訴えた。
また、寒い海に毎日出るノリ漁と8時間座りっぱなしのパチンコで忍耐力が培われ、それがピアノの練習に役に立ったとユーモアを交えて話し、「何かひとつ打ち込めるものを見つけたら、人生が変わるかも知れない。もしダメでも歩いてきた道のりは次の糧になる」などと話した。
特技の手品も披露し、最後に「ラ・カンパネラ」の演奏で締めくくると、生徒らから熱い拍手が送られた。
3年の田栗諒人さん(14)は「夢を大成するためには努力がとても大切だと改めて気付いた。徳永さんのように夢をみつけて頑張っていきたい」と語った。3年の中島栞奈さん(14)も「テレビで演奏を見たという小さなきっかけで、こんなに人生が変わることに驚いた。やってやるぞという気持ちが大事だと思った」と話した。
講演会は、生徒がさまざまな職業の人に触れることで職業観を養い、将来の職業について考えてもらうきっかけになればと年2回開かれている。
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