17日夜に四国沖で発生した地震には危機感を持った人が少なくないかもしれません。規模が小さく、南海トラフ地震との関連はすぐには調査されませんが、専門家は「意識と備えを考えてほしい」と指摘します。

南海トラフ巨大地震の発生確率は今後30年以内に70%~80%とされています。

愛媛・高知で最大震度6弱を観測

17日夜の地震はその想定震源域の中で起きました。

震源は九州と四国の間にある豊後水道。

愛媛県と高知県で最大震度6弱を観測し、地震の規模を示すマグニチュードは6.6でした。

一夜明け、現地では複数の住宅や商店などで被害が確認されています。

気象庁は想定震源域の中でマグニチュード6.8以上の地震が起きた時、南海トラフ巨大地震につながる可能性について専門家を集め分析を行います。

臨時の「評価検討会」と呼ばれます。今回は開かれませんでした。

「南海トラフとはメカニズムが違う」

気象庁 地震津波監視課・原田智史 課長:
調査を始める基準であるマグニチュード(6.8)に達していない。それ以下の地震であるということが1つ。今回はプレートの中で発生した地震。プレートの相互の運動で発生する南海トラフ巨大地震とは、そもそもメカニズムからして違う

南海トラフの地震はプレートとプレートの境界付近での発生が想定されますが、今回の地震はこれよりもやや深く、沈み込むプレートの中で起きました。

また、今回の地震は岩盤が引っ張られ上下にズレ動くタイプで、南海トラフ地震とはメカニズムが異なるとしています。

臨時の評価検討会が開かれる基準は?

専門家は…

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 特任教授:
プレートの境界ではなくてプレートの中で起きたような地震。メカニズムは違いますが全く関係ないわけではなく、プレート境界付近で起きているのは事実

岩田特任教授は状況を注視する必要性を指摘します。

また「臨時の評価検討会」を開くかどうか、マグニチュード6.8という基準については…

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 特任教授:
(Q.M6.6と6.8 エネルギー量の違いは?)エネルギー量としては大体2倍くらい。ただ、それはマグニチュードが6.8になれば検討会を開くという1つの目安であって、数字に意味があるわけではない

心配されるのはプレート境界面で起きる南海トラフ巨大地震だけではありません。

また、それも専門家の分析を待たずに発生することが考えらえます。

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 特任教授:
列島付近では地震が時々起こる。それに対して一喜一憂するのではなく、自らやれることは普段からやっておくことが重要。静岡もプレート境界の真上に位置しているので周辺には活断層もたくさんある。いつ何時このぐらいのもの、例えば能登半島クラスの地震が起きてもおかしくない。従来から言われているプレート境界の巨大地震もいつ起きてもおかしくない

想定震源域の中では、2022年1月にも宮崎県沖の日向灘で今回と同じマグニチュード6.6の地震が起きています。

また、能登半島地震のように活断層により被害がもたらされる地震もあります。

今も多くの人が不自由な生活を続けています。

「地震はいつも自分の足元で起きる可能性がある」

静岡大学 防災総合センター・岩田孝仁 特任教授
今回のように地震が起きて次の大きな地震が起きるのかと心配するより、こういう地震はいつも自分の足元でも起きる可能性があることを前提に、普段の備えをもう一度点検して、不足していればこの機会に対策してもらえれば

日頃からの備えを確認して

静岡大学防災総合センターの岩田特任教授は2つのことを確認するよう呼びかけています。

・臨時情報が出た時の対応
・日頃からの備え

17日夜の地震のマグニチュードがもし6.8以上だったら気象庁から「南海トラフ地震・臨時情報」が出され、専門家による調査・分析が進められていました。

巨大地震につながる可能性が記者会見で発表されます。

こうした情報があることを知っておく必要が大切です。

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