3歳の女の子がタワーマンションから転落し死亡した事故。小さな子供がいる親は自分の家で同じようなことは起きないのか心配になったのではないでしょうか。再発防止のためにできることを考えます。
<VTR>
【住民は】
「驚きとショック。できる限りの気をつけれるところを、改めて気をつけていかなくてはいけないなと思いました」
後を絶たない子供の転落事故。
消費者庁によると転落事故は、夏ごろから増加。年齢は3歳から4歳が最も多いということです。
事故防止の研究をする専門家は、どの家でも起きうることだと警鐘を鳴らします。
【セーブキッズジャパン北村光司理事】
「こういう事故があったときに、親が見ていなかったから悪いでしょとか、その子がやりがちな子だったんじゃないかとか、うちの子はそういうことしないから大丈夫とか思ってしまいがちだが、実際にそんなことはなくて、事故はいつ起きてもおかしくないという風に思っていただいて、環境面でいかに対策をするかというのをぜひやっていただきたい」
対策の在り方を考えます。
<スタジオ>
取材した石井記者です。
【石井記者】
痛ましい事故を繰り返さないために、まず、現状を見ていきます。
消費者庁による建物からの転落死亡事故発生件数のデータです。
4年間で20件起きていて、今回の事故のように0歳から4歳の事故が14件起きているということが分かります。
政府も何もしていないわけではありません。
政府広報オンラインで、保護者に向けて、注意喚起を呼び掛けています。
映像を見ると、ちょっと目を離した隙に起こるのだということが伝わってきます。
このような映像を通して政府は保護者に対して注意喚起を呼びかけ続けています。
Q:政府が映像が制作されるぐらいなので、社会問題になっているというのが改めてわかります。
ただ、専門家によりますと、保護者の配慮にも限界があるというのです。
実は、こんな実験が過去に行われています。
<VTR>
(ナレーション)
「転落事故のニュースをまた目にした。ベランダの手すりの実験では6歳児はほぼ全員が乗り越えた。4歳児はおよそ7割が乗り越えた。2歳児でも乗り越える子供がいた。子供たちは大人が思うより簡単に手すりを乗り越えてしまう」
現在のの建築基準法の基準、110センチの高さの実験なのですが、簡単に手すりを乗り越えられる、手を掛けさえすれば、登れてしまうことが伝わってきます。
今回の事故では踏み台がありましたが、踏み台がなくてもいとも簡単に簡単に登れてしまう。大人が想像する以上に子供は身体能力が高いのだということが伝わってきます。
<スタジオ>
そして、こんな実験結果も出ています。
柵の高さを120センチにした場合、3歳児の6割以上、5歳児にいたっては9割以上が乗り越えました。
30秒間というと、保護者が、ちょっとトイレに行った間にでも起こりうる事故というのがわかると思います。
Q:いつどこで起きてもおかしくないということが、この数字からもわかります。
一方で、柵の高さを140センチ以上にすると3歳児は0%、4歳児はおよそ30%と一気に減ります。ただ5歳児を見ると7割以上となるので、やはり限界も見えてきます。
国は、次のような注意喚起を呼びかけています。
「足がかりなるものを置かない」
「室外機は柵から60センチ以上離す」
「手の届かない場所に補助錠などのカギをつける」
「子供を一人にしない」 など呼びかけをしています。
ただ、専門家はこんな提言もしています。
●国が規制を強化する
●対策をした場合に補助金を出す、など対策をしやすいよう法整備する
保護者レベルではない話も持ちあがっています。
実際にこのような例もあります。
高層ビルの多い、アメリカNY市の事例ですが、条例でアパート3戸以上の所有者に対し10歳以下の子供が住む場合、すべての窓にガードやストッパーを付けることが義務付けられています。
<VTR>
これはTSSニューヨーク支局の古賀記者が撮影した映像です。
【古賀記者】
「NYのこちらの家庭では、窓ガラスが10センチほどしか開かないよう安全対策が施されています」
<スタジオ>
こうした事故を繰り返さないためにも、環境整備も含めて社会全体で議論していく必要があるのではないでしょうか。
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