厚生労働省は介護分野でもマイナンバーカードの利用を進める

厚生労働省は介護保険サービスの利用者がもっている紙の介護保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する方向で検討する。現在は市町村での要介護認定申請など、手続きの多くで紙の保険証を提示する必要がある。政府が進める介護情報のデータ基盤整備にあわせ、マイナカードの活用を進める。

8日の社会保障審議会介護保険部会で提案した。マイナカードを持っていない高齢者については、介護保険の利用者であることを記載した書類を別途交付する方向で検討する。厚労省は24年度から順次、紙の介護保険証の機能をマイナカードで使えるようにする方針を示していたが、紙の介護保険証の廃止を打ち出すのは初めてとなる。

介護保険加入者のうち、65歳以上の第1号被保険者全員と、40〜64歳の第2号被保険者で介護が必要な人が紙の介護保険証を持つ。厚労省によると両者の合計は3月末時点で約3600万人だ。要介護認定のほか、ケアマネジャーがケアプランを作成する際や介護事業所でサービスを利用する際にも介護保険証の提示が必要だ。

廃止時期などは今後詰める。導入に向けては課題も多い。マイナカードの取得率は23年12月末時点で、全国で約7割だ。介護保険サービスの利用者が多い80歳以上の取得率は低く、紙の保険証の廃止には利用者から反発も想定される。政府は一定期間は紙の介護保険証を利用できるよう認めることも検討する方針だ。

医療分野では24年12月に現行の健康保険証を廃止し、マイナ保険証に切り替えることが決まっている。5月時点で利用率は7%台と低迷している。

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