「恩返しの気持ちをたくさんの人に届けたい」そんな店主の思いから、生まれ変わろうとしている飲食店が秋田市にある。2023年夏の記録的大雨被害を乗り越え、より利用しやすい店を目指す。
4月24日にオープンする秋田市中通の飲食店「らぁめんらぼ。食堂8080(はればれ)」。稲庭中華そば秋田本店を改装してのリニューアルオープンとなる。
らぁめんらぼ。食堂8080 店主・犬塚智さん:
「たくさんお世話になった方々、協力してもらった方々へ私たちができる恩返しを」
2023年7月の大雨で、店は最大1メートルの高さまで水に漬かった。店主の犬塚さんは自宅も被災し、家族と共に店の2階で避難生活を送りながら復旧作業を進めた。そんな犬塚さんを支えたのは、常連客からの励ましの声だった。
犬塚智さん(当時):
「お客さんがいろいろ心配して電話くれたりメッセージをくれたりする。お客さんが励ましてくれるから、ようやく持ちこたえて前に進もうという感じ」
多くの人の協力と支えのもと、4カ月後に店は再開。犬塚さんの価値観に変化が生まれた。
犬塚智さん:
「自分としては、被災がある意味ターニングポイントだった。支えてくださっている方の存在、協力してもらった方の思い、普段なかなか感じることができない部分が、その時にはっきり分かった」
料理人として“稲庭中華”の名を冠にしたこだわりのラーメンを貫き、たくさんの人にその味を認めてほしいと店を切り盛りしてきた。今、その情熱のベクトルは方向が変わりつつある。
能登半島地震が発生した際には、「被災したからこそ、大変さやつらさが分かる」とチャリティーイベントを企画。売り上げ約75万円を被災地に寄付するなど、さまざまな形で恩返しを模索する犬塚さんは大きな決断をした。
犬塚智さん:
「この店をより利用しやすくすることが一番の恩返しではないかと思った。本当に大変な思いをした反面、どうすればより多くの人に“楽しい気持ち”や“幸せな気持ち”を届けられるかを考えた」
リニューアルでは、昼はご飯ものの提供を始めるほか、夜は居酒屋へと生まれ変わる。比内地鶏やウサギなどの刺身、ホルモン煮込みといった約30種類のメニューに、自家製の漬け梅を使ったサワーの飲み放題なども用意。利用シーンを選ばない店を目指す。
ラーメンも大きく生まれ変わる。
犬塚智さん:
「自分たちが気に入っている麺、味わい、スープをより多くの人に発信するのではなく、『より多くの人に食べてもらえる』『気に入ってもらえる』内容に寄り添うことを考えたとき、今の新しい麺の方が気に入ってもらえると考えている」
味わいは引き継ぎながら、これまでの“稲庭中華”ブランドの細いストレート麺から、味わいに応じた2種類の麺に変更した。
新たな看板メニューは、店の名前を背負った「8080(はればれ)醤油らぁめん」。しょうゆベースのスープがよくからむ平たくもちもちした食感の中太ちぢれ麺を採用し、製法や味付け、部位が異なる3種類のチャーシューをトッピングした。
犬塚智さん:
「店に来てもらった時、帰る時、気持ちが晴れて、楽しい気持ちで笑顔で帰ってもらえるような、そんな明るい店にしたい」
おなかがいっぱいになるだけではなく、心も“8080(はればれ)”してほしい。店のオープンは4月24日。
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