小2の長女のランドセルに忍ばせたICレコーダー。そこから聞こえてきた特別支援学級の様子に、長崎県佐世保市に住むリカさん(仮名)は衝撃を受けた。
パニックになった長女が頭をたたく自傷行為のさなか、「頭たたいたら頭悪くなるよ」と突き放す担任の女性教諭の声。
リカさんが長女の異変を感じたのは2022年4月、新しい担任になってすぐのこと。問いかけても理由を明かさないため、ICレコーダーに頼ったのだった。
長女は自閉スペクトラム症と診断されており、集団への適応が難しい。本来、特別支援学級の教諭は、児童それぞれの特性を理解したうえで対応するものなのに……。
日に日に精神的に追い詰められていく長女。そして「死にたい気持ちになる」と口にするようになった。
そして5月1日、ゴールデンウイーク中のことだった。長女は朝から女性教諭のことを思い出しては気分が落ち込み、そわそわしていた。
リカさんは、昼ご飯にピザトーストを出した。そして、目を離した少しの間に、長女は口いっぱいにピザトーストを詰め込んでいた。呼吸もままならない状態で顔は真っ赤。慌てて吐き出させた。リカさんには長女が自分を傷つけているように見えた。
何度も学校に掛け合い、5月中旬にようやく、特別支援学級のクラスを移ることになった。ただ、リカさんには被害を受けた長女がクラスを替わり、女性教諭が残ることへの不満があった。
長崎県教育委員会の教職員の懲戒処分基準には「児童生徒の人権を侵害する暴言等不適切な指導を行い、精神的な苦痛を与えた教職員」という項目がある。
リカさんはこれをもとに7月、市教委に「女性教諭の処分」を求めた。しかし、壁は高かった。【村田拓也】
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