KTSライブニュースでは4月から新企画「街ネタ調査隊」をお送りします。
皆さんは普段生活していて「あの行列は何だろう?」「あれ、なんか気になる!」という話題ありませんか? このコーナーでは、そんな街ネタをニュースの目線で徹底調査!知って楽しくなる街ネタの裏側をお届けしていきます。
1回目は開店前から列ができている、あるラーメン店を調査しました。そこに秘められた人気のワケとは?
いつも長ーい行列ができているお店があります。鹿児島市いづろ通り交差点近く、鹿児島市大黒町のあるラーメン店。なぜ並んでるんですか?
行列に並ぶ人たち
「一言で言ったら五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたる」
「お腹いっぱいになって最高なラーメンです」
今回、並んでいる方々30人に話を聞きました。
なぜ並んでいるのか。その理由として一番多かったのは「量が多くておいしい」、2番目は「フレンドリーで明るい店の雰囲気」、3番目は「今しか食べられないから」という理由でした。では、人気のワケを街ネタ調査隊、ひとつずつ探っていきます。
一番多かった理由「量が多くておいしい」ここで食べられるラーメンというのが山盛りの野菜に、3時間かけて煮込み、注文が入ってから切るという、とろっとろの厚切りチャーシュー。そして、豚骨しょうゆスープにお店自慢の自家製・極太縮れ麺。食べ応え抜群のラーメンです。
ラーメンに詳しい専門家に聞きました。
ラーメンデータバンク 大崎裕史会長
「東京中心にラーメン二郎がかなり大行列を作ってはやってますので、それが全国に広まっている感じですね」
大崎さんが話す「ラーメン二郎」は東京都の三田に本店があり、てんこ盛りのラーメンが特徴。多くのお店では麺の量がおよそ150gなのに対して、ガッツリ系ラーメンは300gがベースでおよそ2倍!また、麺の上にキャベツやもやしが高く盛られ、厚切りのチャーシューが乗ったインパクトのあるラーメンです。
行列に並ぶ人たち
「昔、二郎系で食べたことあるんですけど、その中でもおいしい二郎系だなと感じたのが最初の印象ですね」
「口の中が幸せであふれるというか」
「頭の中が(手を広げて)こんなになります。おいしい~って」
麺の太さや味の濃さに背脂。一度食べたら脳裏に焼き付くラーメンです。
続いての理由、「フレンドリーで明るい店の雰囲気」。お客さんに聞いてみると。
「店主の兵頭さんもめちゃくちゃいい人で最高。夢も聞いたりしてるので、お店の雰囲気含めて最高にうまい!」
「夢が集まる場所でもあるのかなってすごくいい場所だなって思います」
皆さんが口々に語る「夢」。まさにお店の名前も「夢を語れ」です。実は、この「夢を語れ」というラーメン店は、ある日本人の男性が始め、アメリカのボストンでも行列ができるほど話題に。現在は日本各地に広がりその数18店舗。ここ鹿児島でお店を構えるのは、兵頭竜哉さん28歳、大阪府出身です。20代の時、ワーキングホリデーでカナダのトロントに行き、アメリカのボストンで「夢を語れ」のラーメンに遭遇。いつかは店を開きたいという思いから好きなラーメンの道へ。そして、あこがれの長渕剛さんの出身地、鹿児島に来て自分の店をオープンしました。でも「なぜ、ラーメン店で夢を語る」のでしょうか?
夢を語れ 鹿児島 代表 兵頭竜哉さん
「夢は、楽しく生きるための道具だと思っていて、夢に向かって生きてる時が楽しい、ワクワクするんで。人の夢を見ていてあまりネガティブな気持ちになることはないので。僕も朝から晩までここでずっと仕事してますけど、おかげさまで結構ポジティブに仕事できているので」
お店には、お客さんが書き記した様々な夢が。そして、お客さんがベルを「チーン」と鳴らし「夢語らせてもらっていいですか!」と切り出しました。「自分の夢は、今売れてるバンドがいっぱいあって、日本一熱いバンドをしてドームに立つことが夢です。応援よろしくお願いします!」
お客さんたちは声をそろえて「グッジョーブ!」すかさず「ありがとうございます!」と答えました。
夢を口にしてラーメンを口にしてみんなで応援する。ここは夢を追いかける人たちの楽しい集いの場にもなっていました。
行列の理由、最後は、「今しか食べられない!?」
お客さん
「9月に閉まると聞いて、一回は人生で経験しておきたいなと」
「9月に閉まるってことだったので、まだ二郎系のちゃんとしたお店に来たことなかったんで食べたいなーと思って」
日本各地に店舗を展開する「夢を語れ」にはひとつのお約束があります。それは、「営業期間3年間」。まずは経営を学ぶ期間として「夢を語れ」で自分の店を持ち、その後は独自の店に発展したり違う仕事につく人とさまざま。この鹿児島の「夢を語れ」も丸3年を迎える9月18日で閉店するのです。
「期間限定」。このことから読み取れる私たち消費者の心理とは。専門家に聞いてみました。
鹿児島大学法文学部心理学コース・山崎真理子准教授
「期間限定にすることによって、いつでも自由に選べる訳ではなく、一定の期間でないと入手することができない。また後でいいや、ではなく今行かなきゃ、となるとまたそこで行列がどんどんできていく」
さらに、「行列」がもたらす心理について山崎准教授は。
「現代社会は選択肢がありすぎて、できるだけ皆さん大外れを引きたくないということがあるので、それで口コミが広がったり、何かを手がかりに判断して選択する。『行列』というのもその中の一つだと思います」
行列ができる気になるラーメン店。調査してみると、その一杯のラーメンにはガッツリ系の満足感とみんなの夢、そして希少価値がぎっしり詰まっていました。
最後に、店主兵頭さんに聞きました。「今後の夢って何ですか?」
夢を語れ 鹿児島 代表 兵頭竜哉さん
「僕は長渕剛さんにあこがれてこの場所にきたので、鹿児島にいるうちに長渕剛さんに自分のラーメンを食べてもらうことが一番鹿児島で叶えたい夢」
「人生で言うと、カナダのトロントという街で、自分のお店を開くことが僕の夢です」
今回、取材した日は鹿屋市から約2時間かけて、このお店に来ている人がいて、月2~3回来ているということでした。今回調査をして、「行列の価値」というものが見えてきました。
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