いくつかの自治体で試験的に開始されている「こども誰でも通園制度」とは、一体どんな制度なのか?また運用面の課題などはあるのか専門家に聞いた。

<誰でも預けられる制度>
親が働いていなくても、子どもを保育所などに預けられる制度で、未就園児を育てる親の孤独感などを軽減させたり、他の園児との触れあいを通じ子どもの成長を促したりする狙いがある。
他にも「保育士へ相談したい」「病院に行く間、預かってほしい」といった理由で利用することも可能。

<福島県では4市で試験運用>
2024年に入り、福島市・郡山市・白河市・南相馬市で試験的な運用が始まっていて、伊達市と南会津町でも準備が進められている。
2026年度からは、全国すべての自治体で正式に実施される予定。

<利用にあたって>
対象は生後6カ月から3歳未満の未就園児だが、現在は各自治体で異なる。
利用は月・10時間が上限で、料金について国は1時間300円を目安としているが、各自治体で異なっている。
福島市では、1時間あたり600円~700円。郡山市では施設で異なるが、1時間約300円。南相馬市は無料で実施している。

<保育士確保が課題>
利用者のメリットが大きいように感じる制度だが、運用面の課題について福島大学で幼児教育を研究する保木井啓史(ほきい たかふみ)准教授は「保育士の数が現在不足しているのは、どうしようもないこと。福島県や各市町村は色々努力されているので、引き続きそういった工夫が必要」だと話し、制度を運用するにあたって、保育士などの確保を国が支援できるかが課題の一つと指摘する。
また、他の就園児に比べて制度を利用する子どもと接する機会が少ないことから、保育士には経験や技術はもちろん、より細かなケアが求められると話す。

制度の導入によって、保育士離れが加速してしまっては元も子もない。お願いする側・預かる側の双方が、納得できる環境整備を同時に進める必要がある。

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