もうすぐ「夏休み」ですが、物価高が進む中で、親にとっては、「休み」どころか普段より重い負担が。

【子ども3人の母親】「遊びに行くとなったらもっとお金かかるし」
【子ども3人の母親】「私も休みくださいって感じ、一緒に休ませてくださいーって感じ」

誰もが楽しみに待っている「夏休み」と思いきや、ある衝撃的なデータが発表されました。

■夏休みの短縮・廃止を希望 シングルマザーなどの困窮子育て世帯の「6割」

NPO法人「キッズドア」が、主にシングルマザーなどの、困窮子育て世帯を対象に行った調査で、夏休みについて6割が「短縮・廃止」を希望していることが分かりました。

「キッズドア」の担当者は、「物価や電気代などの高騰に加え、忙しい保護者が、夏休みでも時間を作ってあげられず、つらさを感じていることも読み取れる」と話します。

【NPO法人キッズドア 田中博子執行役員】「しょうがないから、1人で作っておいたお昼食べてねって言って、しのいでいらっしゃる方、実際多いです。ご自身の中でせめぎ合いというか、もっとしてあげたいのに、しきれないという思いを抱えてらっしゃると思うんですね」


■「夏休みを素敵な思い出にしてあげたい」 忙しい日々の中、簡単ではない現実

働きながら子育てをする母親にのしかかる、夏休みの負担とは?

大阪市に住む、伊藤さん(35)。2年前に夫を事故で亡くし、いまはデザイナーや着付けの仕事をしながら、8歳、6歳、3歳の3人の子どもを育てています。

夏休みは市が行う、放課後事業などに子どもたちを通わせるつもりだということです。


そんな伊藤さんの最大の心配事は、「お弁当づくり」です。

【伊藤真衣さん(35)】「給食はないので、お弁当を毎日作らなきゃいけないというのが、やっぱりすごく負担で。暑いので自分が作ったもので、食中毒になったらかわいそうだし。(Q.夏休み、金銭面での負担は?)エアコン代とか電気代ですよね。うちは学校(市が行う放課後事業)に行ってもらっているとはいえ、熱中症が怖いから、帰ってきたら、すぐガーンと(エアコン)入れたりするし、遊びに行くとなったらもっとお金かかるし」

伊藤さんは今、子どもたちをキャンプなど遠出の遊びにも連れていきたいと、仕事の傍ら、教習所にも通っています。

忙しい日々の中、子どもたちを遊びに連れて行くのは、簡単ではありません。

【伊藤真衣さん(35)】「夏休み何したい?」
【子どもたち】「プール入りたい」
【伊藤真衣さん(35)】「プールなぁ、行けるかなぁ」


【伊藤真衣さん(35)】「元気があれば行けるかもしれないですけど、ちょっと元気出ないなって。プールはまだちょっと…。3人は目が届かないので、怖いな。だから友達と一緒に行きたいけど、その友達にアポ取るのどうしようとか」

それでも伊藤さんは、子どもたちの夏休みを素敵な思い出にしてあげたいと話します。

(Q.「夏休み短かったらいいのに」に対しては?)
【伊藤真衣さん(35)】「気持ちは分かる。気持ちは分かるけど、自分も楽しめたら、そうならへんのちゃうかな。一緒に遊べる貴重な長い休みになるはずやから、私も休みくださいって感じ、一緒に休ませてくださいって感じ」


■「宿題カフェ」が全国に広がりつつある 「孤立しがちな子どもの受け皿に」

一方で、忙しい保護者たちの助けとなる取り組みが、いま広がりを見せています。

大阪府門真市で開かれている「宿題カフェ」では、週に1回、地域のボランティアが見守る中、子どもたちが一生懸命勉強しています。

さらに、宿題を終えると、子どもたちにとってはうれしい、お菓子やジュースのサービスも。

「宿題カフェ」はいま全国に広がりつつあり、夏休みにも、子育て世帯の負担軽減策の1つとして期待を集めています。


「宿題カフェ」を実施するNPO法人は…。

【NPO法人トイボックス 別府尚武さん】「地域の方たちとの接点ができる。子どもたちは安心が増えるということ。特にご両親働いているとか忙しい場合、子どもが孤立しがちなので、そういう子たちの受け皿にはなるのではないか」

全ての子どもたちが楽しい夏休みを過ごすには、地域の協力も必要になってきそうです。


■時代とともに変わりゆく子どもたちの夏休み 行政のサポートで子どもファーストの夏休みを

関西テレビ「newsランナー」でも、LINEでアンケートを行いました。

「子ども夏休みは必要?」という問いに対して、廃止してほしいが13%、短縮してほしいが25%、今のままでいいが62%という結果でした。

廃止・短縮してほしいという人の意見は、
・子どもがだらけてしまう。
・生活のリズムが崩れる。
・親の負担が大きい。

今のままでいいという人の意見は、
・夏の思い出は必要
・猛暑がひどいので
・親の都合で変えるのはだめ
ということでした。

子どもたちの夏休みの生活は、昔と今はちょっと変わっているところがあります。
    
学校のプール解放やラジオ体操が減少傾向にあり、子どもたちの居場所が減っています。

それぞれの背景ですが、プールに関しては、安全性の確保に人や費用がかかること、そして、ラジオ体操に関しては、ラジオ体操を行う自治会などが高齢化し担い手が不足していることや、「音がうるさい」といった苦情があるそうです。

夏休みのあり方も変わっているようです。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「夏休みで一番大変なのは、共働きの家庭もそうなんですけど、お昼ごはんの問題で、給食がないのお弁当を持たさないといけないということがあります。お弁当を作るのも、親御さんたちの手間になったりするので、一部の地域では学校が有料で弁当を用意してくれるサービスをやっていたり、さらに進んだ所になると、一部補助金を使って安い値段で、弁当が用意できるようになっています。行政側で手助けできることがあると思うので、そういうことも、先を見越したサービス提供をするのもありなのかなと思います」

時代に合わせて子どもファーストの夏休みというのが実現できたらいいですよね。

(関西テレビ「newsランナー」2024年7月12日放送)

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