ロシアによる侵攻から8月で2年半となるウクライナ。

破壊によって生じた「がれき」を建材に再生することで復興を後押ししようと、福岡県内の企業が動き出しています。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって2年5ヵ月。

7月9日も首都キーウにある小児病院が攻撃を受け、大勢の死傷者が出ました。

そして長引く戦禍で破壊された建物などのがれきは国連の推定で、約1000万トンにも上っています。

その処理が復興への大きな課題となるなか、このがれきに着目し復興支援に動き出している企業が福岡にあります。

◆田川産業 行平史門社長
「ウクライナのがれきを再利用して作ろうと思っているのはこういった形のタイルで、これは黒・赤・緑とカラフルになっているが、がれきは恐らくグレーなのでもう少しシンプルなデザインにはなる」

田川市で100年続く漆喰メーカーの社長、行平史門さん(37)です。

雪景色と見間違えるほど白く染まった工場に機械がずらりと並ぶ田川産業は、漆喰の国内トップシェアを誇る企業です。

その会社が製造する「漆喰タイル」の原料にウクライナのがれきを使用し、再び建材に蘇らせようというのです。

◆田川産業 行平史門社長
「こちらがメインの原材料になる石灰石になります」

漆喰の主な原材料は石灰石。

約1000度の熱で焼かれた石灰石は水に触れると割れて粉々の状態になります。

そこに形を安定させるための骨材などを混ぜて漆喰タイルは作られますが、その骨材にウクライナの「コンクリートがれき」が使えるといいます。

◆田川産業 行平史門社長
「昔は九州電力とやったことがあり、(石炭火力発電所の)焼却灰(フライアッシュと呼ばれる産廃)を骨材代わりにして混ぜて、プレスしてタイルを作ったという実績があるので、同じようにウクライナのコンクリートがれきでも使えるかなと」

戦禍で発生したがれきの活用に向け、会社はウクライナに拠点を持つトルコの建設会社と提携。

さらに6月にドイツで開かれた日本政府主催の復興協力を話し合う会議でタイルの製造技術を紹介しました。

今後ウクライナからがれきを取り寄せ、原料に適しているか確認したうえで現地工場を建設しトルコ企業と共に現地で利用を進めるほか、他の国にも輸出したいとしています。

◆田川産業 行平史門社長
「ウクライナの経済復興を考えても、ヨーロッパに売れる製品を作っていくことは非常に重要だと思う。ヨーロッパ全体を見据えた事業展開をしていきたい」

いまだ戦火がやまないウクライナ。

その国土の復旧、そして将来的な経済復興につながる可能性を秘めている田川市の企業発の技術に期待が高まります。

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