友人の家などを訪ねた時に、モワッとした独特の「におい」を感じることはないだろうか。中には、そのにおいに違和感や不快感を持った経験がある人もいるかもしれない。
そして、ここで疑問が湧いてこないだろうか。
「自分の家は大丈夫だろうか…?」
“におい刑事”の愛称で活躍する臭気判定士の松林宏治さんによると、特に自分の家のにおいには気づきにくいという。では、どうしたらいいのか。家のにおいの正体と予防法を聞いた。
においには生活習慣が出る
他の人の家に足を踏み入れた時に感じる“家のにおい”の正体は何なのだろうか。
松林さんによると、家のにおいは、その家庭の生活習慣が反映された“生活臭”とのこと。
「まず、使っている“香り系グッズ”のにおいが強く出ます。例えば、愛用のアロマや、トイレの芳香剤が家じゅうに広がっているケースもよくあります。そこに、料理、たばこ、ペットのにおいなどが混ざったものが“その家のにおい”なのです」(以下、松林さん)
この記事の画像(5枚)さらには漬物や香辛料など、その家庭でよく食べているもの・使っている調味料などによっても、においの特徴が出るという。
家のにおいは、日々の生活の中で発生したにおいの分子が壁・床・天井・カーテンなどに染み込み、徐々に定着していく。こうなると部屋を換気しただけでは、においの元を取り除くことは難しくなる。
さらに、染み込んだにおいの分子の運動は、気温が25℃、湿度が60%を超えるくらいから活発になる。つまり、夏場は家のにおいも強くなるのだ。
自宅のにおいに気付く方法
毎日生活していると鼻が慣れてしまうため、自分の家のにおいには気づきにくい。もし他の人にとって不快なにおいだったら…?
自分の家のにおいに気付く方法として松林さんが勧めるのは、「その家に住んでいない人に、忖度なしに評価してもらうこと」だ。
においには好き嫌いがあるので、できれば数人に、「においの快・不快度」「においの強さはどれくらいか」(いずれも段階評価が分かりやすい)を聞く。そして極端な意見を言った人を除いた平均的な意見が、その家のにおいを表していると考える。
「それが難しければ、家を締め切って、最低でも丸一日旅行に行くなどしてください。そして、帰ってきて嗅覚がリセットされた状態で、嗅覚に全集中して慎重に嗅いでみてください」
ちなみに、松林さんはにおいを測定する機器を使うこともあるが、一般の家庭にはお勧めしないとのこと。機器は、においの強さを判定したり、何日も連続測定したりできる強みがあるものの、いいにおいと嫌なにおいは判定できないからだ。さらに、精度のいいものは10万円を超える高額なものが多く、安価な製品を買っても役に立たない可能性が高いのだとか。
「最終的には人の鼻が頼りです」
においを付けない生活習慣
家のにおいには、生活習慣が反映されているという。それならば、どのような点に気を付ければいいのだろうか。においを付けない生活習慣を教えてもらった。
【料理中・食事中は換気をする】
料理のにおいは、壁・床・天井・カーテンなどに付着して染み込んでいく。対策は、料理中から食事中にかけて換気扇を回しておくこと。このとき窓を少しだけ開けておくと、空気の流れがよくなり効率よく排気できる。
【寝室を換気する・寝具を洗う】
寝具や枕は汗を吸収するので、寝室には住人の体臭がこもりがちになる。できれば毎日換気タイムを設けてほしい。寝具も可能な限り洗おう。マットレスを使っている人は、たまに上げて空気を通すとよい。
【靴をすぐしまわない・洗う】
靴は大量の汗を吸うのでにおいの温床に。履いた靴はすぐにしまわずに、除菌消臭スプレーをしてから一晩おいて水分を蒸発させてから下駄箱へ。コインランドリーにある靴専用洗濯機を利用して時々靴を洗うのも効果的。
【他の香りでごまかさない】
においが気になるからといって芳香剤やアロマ、お香などの香り系でごまかすのはNG。においの発生源を解決しないかぎりは、そのにおいと混じって不快なにおいに変わったりする可能性がある。
なお、においは放置するほど取れにくくなるという。体臭だけでなく、家のにおいも強くなる夏。いつもの掃除ににおい対策を加えてみてはいかがだろうか。
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松林宏治(まつばやし・こうじ)
臭気判定士。工場や総合病院から一般の家庭まで、あらゆるにおい問題を解決する企業・共生エアテクノ代表取締役。自身の嗅覚をたよりにさまざまなにおい問題を解決してきたことから“におい刑事”の異名をとる。著書に、『臭気判定士・におい刑事(デカ)が教える! ニオイで女性に嫌われない方法』(インプレス)。
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