松山市中心部の松山城がある山で12日未明に土砂崩れが起き、3人が亡くなったことを受けて、市は16日、災害対策本部会議を開き、1分間の黙禱(もくとう)の後、被害状況の把握や今後の対策などについて協議した。

  • 3人死亡の土砂崩れ「なぜこんなことに」 松山城近くの住宅街

 野志克仁市長は発災後、初めて報道陣の取材に応じ、12日以降休業している松山城の営業再開について「1カ月程度は難しい」との見込みを示した。

 発生直後に市は、現場周辺の住民に命の危険が迫っているとして土砂災害警戒レベル5(最高)の「緊急安全確保」を発令。

 その後、段階的に縮小し、16日午前6時には、被害の大きい緑町1丁目の一部(32世帯約65人)に対する警戒レベル4の「避難指示」に切り替えた。

 16日午前9時時点も22世帯40人が3カ所の公民館で避難生活を送っている。

 市は現場に重機やダンプを派遣し、15日夕までに約650トンの土砂混じりのがれきを除去した。

 しかし、被災住宅の裏山の土砂撤去などにはさらに2週間ほどが必要で、避難生活の長期化が予想される。市は避難者に市営住宅への入居意向を確認するという。

 観光名所の松山城については、排水や電気設備に損傷が生じているほか、石垣の状態などを確認するボーリング調査のため約1カ月の休業が必要という。

 天守などが国の重要文化財に指定されている松山城では、ボーリングに先立って発掘調査なども必要になるといい、文化庁と協議しながら作業を進める。観光業などへの影響について野志市長は「安全に関わることなので理解してほしい」として、無利子無担保の融資制度などで支援する考えを示した。

 市は今月、昨年夏に豪雨の影響で傾いた松山城の緊急車両用道路の擁壁を修理する工事を予定していたが、今月1日に路面に大きなひびが入っていたことから、擁壁自体を約20メートル除去して崩落を防ぐ工事に緊急変更。擁壁を取り除いた箇所はブルーシートで覆い、雨水の地面への浸透や土砂の落下を防ぐ措置を施していたという。

 この工事と土砂崩れに関係があったかどうかについて、野志市長は「詳細な調査と分析が必要。今の段階ではわからない」とした。

 今後、現場斜面には県が落石防護柵を設け、原因については国と県を交えた三者で究明を図るという。(戸田拓)

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