活動開始から70年以上の長い歴史を持つ秋田市の秋田北高校・放送委員会。7月22日に開かれる放送コンテストの全国大会に、秋田県代表として2人が出場する。大会にかける思いは。その一方で抱える放送委員会の課題とは…。
数えきれないトロフィーの数々。この輝かしい実績を誇るのは「秋田北高校・放送委員会」だ。
活動が始まったのは1952年。多くのプロのアナウンサーを輩出している名門だ。
6月に開かれた高校放送コンテスト県大会のアナウンス部門で、優秀な成績を収めた3年生の伊藤千世さんが全国大会に出場する。
アナウンス部門は、自分で興味のあることや学校に関連する出来事を取材して原稿にまとめ、その原稿を自分で読む部門。中学校でも放送部だった伊藤さんだが、苦労も多いという。
伊藤さんは「ネタを探すのが一番大変で、校内のネタか、秋田全体に関わることかを決めて、外部の人に取材しに行くのはとても緊張する。なかなかハードルが高いことだと思ったがやるしかないので、今回の大会用の原稿の完成にこぎつけた」と話す。
また、テレビドキュメンタリー部門には、同じく3年生の高橋優綺さんが出場する。
高橋さんは「秋田にまつわる文化って意外と高校生たちは知らないよなと思い、秋田の俳句とその展望について調べたドキュメントをつくった。全国のいろいろなドキュメント作品が見られるので、そこで、こういう視点からこういう作品が作れるんだな。こういう切り口もあるんだなとか、最後の大会だが学んでいきたい」と話した。
企画から撮影、編集、ナレーションまですべて1人でこなし、全国大会に提出する作品を作り上げた高橋さん。「どういうコンセプトでやりたいのかを具体的に提示しないといけないので、取材先への配慮や要望をきちんと伝えるのが一番難しかった」と苦労を語った。
指導に当たる顧問の高階一也先生も、「結果を県大会でも出してくれたので、思い残すことなく全国大会でも頑張ってほしい」と伊藤さんと高橋さんに期待を寄せる。
全国大会に出場する放送委員会だが、ある問題に直面している。
コロナ禍で昼の校内放送が廃止になり、生徒たちが放送委員会の活動に触れる機会が減ってしまった。その影響なのか、現在所属している委員は3年生の2人だけなのだ。
高橋さんは「1年生の頃に比べ、だんだん声が少なくなっていって寂しいというかむなしい」と話し、伊藤さんも「部員が少ないと不便で、委員会や部活の面でにぎやかさは減ったと思う」とたくさんの仲間がいた頃を懐かしむ。
2人は7月22日からの全国大会を終えると引退する。
高階先生は顧問になって6年目だが、人数がゼロになるのは初めてで、「今後も伝統が続くことを期待しているが、時代の流れもあるし、この後どのように継承し、活動していこうか悩んでいる」と話す。
2人は引退後も放送委員会への勧誘活動を続けていくことにしている。そして、委員会の伝統が途切れることなく、続くことを願っている。
※高橋優綺さん、高階一也先生の「高」は「はしご高」
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