7月19日に国の文化審議会文化財分科会が開催され、福岡市にある築66年の集合住宅を登録有形文化財に登録するよう答申されました。

正式に登録されれば、民間事業者が鉄筋コンクリートで建設した戦後初期の集合住宅として全国で初めてとなります。

国の登録有形文化財に登録される見込みとなったのは、福岡市博多区上川端町にある「冷泉荘(れいぜんそう)」です。

冷泉荘は、民間事業者が「旧八木アパート」して昭和33年(1958年)に建てた地上5階・地下1階の鉄筋コンクリート造りの建物で、現在は事務所や店舗が入っています。

福岡市の旧博多部に残る戦後復興期の貴重な民間集合住宅で、昭和中期の間取りや設えが建設当時のまま保存され、今回、地域の歴史的な景観に寄与している点が評価されました。

建物東側の階段室には東西方向に昇降する階段が付き、ひし形の開口部が設けられているほか、5階の部屋には外に出られるベランダがあるなど、現在の集合住宅につながる特徴があります。


また、かつての様子を残した部屋には、換気のための掃き出し窓や天袋などがあり、当時の生活を垣間見ることができます。

「冷泉荘」を所有する吉原住宅の吉原勝己社長は「天神ビックバンで新築ビルが建つ時代になったからこそ、古い建物が活躍して、古さと新しさがバランスよく発展している街が理想なのではないか。古い建物の良さやあり方を理解してもらえるような街に変わっていくきっかけになればいいなと思います」と語っています。

「冷泉荘」が国の登録有形文化財に正式に登録されれば、民間が建てた戦後初期の鉄筋コンクリート造りの集合住宅として全国で初めてのケースとなります。

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