TSKとJALによるコラボ企画。今回の担当するのは、客室乗務員でJALふるさと応援隊の高木萌花さんです。高木さんが取材したのは、日本の伝統工芸「組子細工」の職人です。島根県産の木材を使った製品の魅力を国内をはじめ海外にも広めようと奮闘する若き職人を訪ねました。

雲南市加茂町の緑に囲まれた山あいにある舟木木工所。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
こんにちは。木の良い香りがしますね。何を作っていらっしゃるんですか?

舟木木工所・野尻かおりさん
これは組子細工で、雪形結晶という紋様の建具を作っています。

出迎えてくれたのは、松江市在住の野尻かおりさん。5年前にインターネットで偶然目にした組子細工の魅力に惹かれ、この道60年の組子細工職人で、現代の名工にも選ばれた舟木清さんに弟子入りしました。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
野尻さんから師匠に弟子入りしたいと連絡があったんですよね。

舟木木工所・舟木清代表:
失われつつある組子細工の技法を、是非自分がマスターをしたいと懸命に努力されて、私が認める職人に認定したところです。

組子細工は、約1500年前に飛鳥時代から続く日本の伝統工芸技術です。釘などを使わず、厚さ約1ミリの木片を組み合わせて幾何学的な模様を作ります。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
1つ1つのパーツがとても小さいですね。

舟木木工所・野尻かおりさん:
1つ1つ手作業で作っています。このパーツは、小刀で1枚ずつ削って作っています。

材料は、主に島根県産のヒノキやスギ。手作業で用途に応じたパーツを作ります。
高木さんも野尻さんに教えてもらいながら組子細工に挑戦です。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん
難しい。結構、木が固いですね。

舟木木工所・野尻かおりさん:
慣れてくるとサッサッとできるんですけどね。

作業は全てミリ単位。障子やふすまなどひとつの建具を作るには、同じ大きさに揃えた部品数千個以上が必要で、これらの部品を用意するだけで半年近くかかることもあるそうです。野尻さんは、このとても緻密な技術を新たな分野で活かそうとしています。

舟木木工所・野尻かおりさん:
これは組子細工のアクセサリーです。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
素敵なアクセサリーがたくさんありますね。組子細工を使ったアクセサリーを作られるようになったきっかけは何ですか?

舟木木工所・野尻かおりさん:
組子細工を現代風にして皆さんが身に付けていただくことで、日本の伝統工芸技術が伝わっていくんじゃないかと思って作り始めました。高木さんはビジューが付いたイヤリングが似合いそうです。

野尻さんに勧められてイヤリングをつけてみた高木さん、「木を使っているのに、とても軽いですね」と着用感に満足のようです。

野尻さんは、組子細工をアレンジしたイヤリングやピンバッジなど約10種類のアクセサリーを製作しています。「木の絵」のような幾何学模様に見えることから「kino:el」というブランドを立ち上げ、県内の土産物店をはじめオンラインショップでも販売しています。そして更なる展開が…。

舟木木工所・野尻かおりさん:
これらの商品なんですが、フランスのパリで開かれたジャパンエキスポで紹介してきました。

7月11日から14日まで、パリで開かれた日本文化の祭典「ジャパンエキスポ」。会場には100を超えるブースが並び、日本を代表する美術品や工芸品が紹介されました。
野尻さんもこのジャパンエキスポに出展し、組子細工の魅力を伝えました。

舟木木工所・野尻かおりさん:
皆さんに組子細工の技術を知ってもらい(細かさに)とても驚かれました。

パリで紹介したアクセサリーは、ピアスやネックレスなど約100点。4日間でその3分の2以上が売れる盛況ぶりに、確かな自信をつかんだと言います。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
海外の需要は、新たな挑戦に繋がりそうですね。野尻さんの今後の目標を教えて下さい。

舟木木工所・野尻かおりさん:
日本の伝統工芸の技術をもっと世界に広めていきたと思います。

舟木木工所・舟木清さん:
より良い新しいデザインの開発と若い人に木の種類の使い方や技法を伝授して欲しい。

日本の伝統工芸、組子細工。その技は、現代の名工から若き職人に引き継がれ新たな世界を広げています。

JALふるさと応援隊・高木萌花さん:
歴史ある伝統技術の継承と新たな分野への挑戦は、師匠の理解と弟子の熱意があってこそ成せる業だと思いました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。