植物由来の原材料を使用した「プラントベース」の食品が世界的に関心を集めている。その一つが大豆を原料とする豆乳だ。日本における年間生産量は20年で約8倍に拡大した。健康志向の高まりを受け、売れ筋も変わってきている。
業界団体の日本豆乳協会によると、2000年には5万キロリットル程度だった豆乳類の生産量は、20年には過去最高の43万キロリットルまで増加。新型コロナウイルス禍に自宅で食事をする機会が増えたのも理由だが、その後も年40万キロリットル程度で高止まりしている。消費量に関する統計はないが、協会は生産量と同じ程度だと推定している。
拡大した要因の一つは「無調整」の豆乳だ。豆乳類は大豆と水のみで作る「無調整」▽砂糖などで味付けをした「調整」▽果汁などが入った「豆乳飲料」――に分類される。生産量の内訳では00年まで無調整はほとんどなく、調整が大半を占めていた。
その後、無調整は徐々に増え、19年以降は年10万キロリットルを超える水準に。味や成分が調整されておらず、より健康意識の高い消費者に受け入れられたようだ。
他にも「砂糖不使用」「体脂肪を減らす」と銘打った商品も登場。国産大豆を使った高級路線など、さまざまな商品が提供されている。
楽しみ方も多様化している。コーヒーで割る「豆乳ラテ」や、豆乳とだし汁で作る「豆乳鍋」など用途に広がりをみせている。
日本豆乳協会の山崎孝一会長(キッコーマンソイフーズ社長)は、16日の記者会見で「豆乳を飲んだことがない人も多く、実際に味わってもらうと『おいしさを知った』と話す人も見受けられる。まだ(市場拡大の)可能性がある」と期待を示した。
協会によると、24年1~6月の生産量は前年同期比1・4%増となり、4年ぶりに前年を上回った。今後は新たな消費者の掘り起こしに注力する方針で、観光地や飲食店などと協業する計画があるという。【嶋田夕子】
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