夏本番が近づくと、最高気温が35度を超える災害級の猛暑が続く。ここ数年の猛暑には、種苗会社も頭を抱えている。
野原種苗(埼玉県)の塩﨑恵治さん(69)がこの時期、JAなどの野菜栽培の講習会に招かれるときのテーマはほぼ、暑さ対策だ。
農家から「暑さに強い品種はどれか」と聞かれるが「正直、こっちが教えてもらいたいくらい気候が変わってきている」と感じる。
「暑さに強い品種を作ってほしい」というリクエストも多いが、新しい品種を生み出すには最低でも5~10年ほどかかる。その間にも温暖化は年々進み、開発が追いつかない。「もう限界にきている」と話す。
塩﨑さんによると、関東では近年、小松菜やホウレンソウといった葉物野菜の夏の栽培を諦める農家が続出。気温が高いと発芽も成育も悪く収入につながらないため、無理をしてまで作らないのだという。夏植えのキュウリも生産を諦める農家が多くなってきた。
エダマメのように高温に強い野菜もある。だが、「農家全員が栽培をエダマメに切り替えて、みんなでエダマメだけ食べよう」というわけにはいかないと塩﨑さん。米も野菜も果樹も、産地の北上がどんどん続いている。(大坪実佳子)
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