ゆったりごろ寝しながら、全身で音楽を体感できるスピーカーが誕生した。

八代産い草・畳表の再興をめざす「八代産畳表認知向上・需要拡大推進協議会」(熊本・八代市)が、「日本音響研究所」と共同で開発したのが、スピーカーを内蔵した畳。その名も「畳スピーカー『TTM-V20』」だ。

振動スピーカー(ボディーソニックスピーカー)が4基、畳の中に入っている
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高いクッション性とリラックス効果のある香りが特徴だという八代産の畳の中に、直径90mmの振動スピーカー(ボディーソニックスピーカー)を4基搭載。畳そのものから音と振動があり、畳と接触した身体の部分からその音と振動に浸ることができるという。なお、Bluetoothが搭載されており、好きな音源を簡単に再生することが可能だ。

さまざまなシーンで活用可能だという

音源との組み合わせによって、休憩所などのリラックスする場所や迫力ある音楽や映像作品の鑑賞など、さまざまなシーンで活用することができる。自宅の和室をシアタールームにすることもできそうだ。

7月4日から「八代産畳表認知向上・需要拡大推進協議会」と販売元の「山中産業」WEBサイトから一般販売を開始している。畳サイズは幅1760mm×高さ880mm×奥行き55mmで、希望小売価格は24万9800円(税別・送料別)。畳縁を始め、サイズや形状のオーダーメイドも受け付けている。

情報だけでなく「体験」で伝える!

畳から生み出される音とはどのような物なのだろうか?やはりごろ寝の体勢で使うのがおすすめなのか?八代産畳表認知向上・需要拡大推進協議会の小林和也さんに話を聞いてみた。


ーー畳にスピーカーを内蔵するというアイデアはどのように思いついたの?

国産い草の栽培と畳表の生産が日本一の熊本県八代市は、国産畳表の優位性である「触り心地」「香り」「クッション性」を伝えるためには、情報だけでなく「体験」が必要と考えました。そして、自由な姿勢で「ごろ寝」する気持ちよさは、畳ならではの価値であることに着目し、「どうしてもごろ寝したくなるエンターテインメント体験装置」を開発することに。

畳単体では提供できない聴覚や振動による触覚で気持ちよさを増幅させるために、振動スピーカーを内蔵するというアイデアに至りました。

開発中の様子

ーー製造にあたりどのような部分に苦労した?

振動を吸収するクッション性を兼ね備えた畳で、振動を表面に伝えるために、複層構造になっている畳のどの層・位置にスピーカーを配置するべきか。また、振動と音を人に伝えるためにどんな周波数を持つ音源が最適かなど、振動・音を畳で人に伝えるという点で数多くの検証を行いました。


ーー使用するにあたり気をつける点は?

防水性などはないため、通常の畳と同じように扱っていただければと思います。

い草の持つ香り成分でリラックス効果も?

ーー畳から生み出される音にはどのような特徴がある?

一般的なスピーカーではなく、低周波を得意とするボディーソニックスピーカーを搭載しているため、低音域を振動として感じることができます。振動を媒介するため、例えば聴覚に障がいのある方でも音を感じることができます。

畳スピーカー「TTM-V20」

ーーどのような体勢で聞くのがおすすめ?

ごろ寝していただき、国産畳本来の触り心地、香り、クッション性などと共に、五感で体験いただくのがおすすめです。振動をより感じていただくために、人がごろ寝した時に肩甲骨や腰骨など、畳と骨の接地面をイメージした場所に、スピーカーを設置しています。


ーーちなみに立ったり座ったりしている状態だと、どのように聞こえるの?

振動は畳の表面を通して空間へと広がるため、音自体は耳で感じることもできますが、畳との接地面を通して振動を感じることができるため、足の裏や尾骨を通じて体に直接、振動と音が入り込んでくるように感じていただけます。

い草の持つ香り成分でリラックスできる (C)2017 熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会IGSAPHOTOLOG

ーー畳としての寝心地や居心地はどう?

外国産や化学繊維を使ったものとは違い、八代産い草を使用した国産畳表を使用しているため、触り心地、香り、クッション性を存分に感じていただけます。い草の持つ香り成分(フィトンチッドなど)は森林の香りと言われることもあり、森林浴をしたようなリラックス効果が得られます。

さらなるコラボレーションも進めていく

ーー現在の反響はどう?

建材メーカー様、音響メーカー様、エンターテイメント系のコンテンツホルダー様など、様々な業種の法人様からお問い合わせをいただいております。今後、さらなるコラボレーションなどを進めていく所存です。

銭湯や温浴施設のリラックススペースに

ーーどのような声が届いている?

音楽を聴くだけの機能ではなく、畳の上での過ごし方などを想像された感想をいただいております。例えば、映画やスポーツ中継などの観戦で使用してみたい、禅寺で使用してみたい、海外の日本好きなアーティストに使って欲しい、など様々な視点でのご感想をお寄せいただいております。

イベント会場の休憩スペースや音響機材に

ーーそんな反響や声を、どのように受け止めている?

「畳スピーカー『TTM-V20』」はあくまでスピーカーであるため、様々な方とのコラボレーションによって、さらに用途を広げ、国産い草・畳、和室文化の振興に努めていきたいと考えております。

畳の価値の再発見をめざす  (C)2017 熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会IGSAPHOTOLOG

協議会は、この畳スピーカーを通して「多くの人々に畳そのものの価値を再発見いただけることを目指している」とのことだ。畳にはまだ様々な可能性が秘められているようだ。

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