手話が語る福祉のコーナーです。災害時、音が聞こえず被害に遭いやすい聴覚障害者。西日本豪雨で被災した倉敷市などで取り残されないための取り組みが始まっています。

(倉敷市聴覚障害者協会 木村智子会長)
「(高齢のろう者は)「豪雨」「危険」の文字だけでは、自分は関係ないと思う人が多いと思う」

倉敷市に2024年、聴覚障害者協会や手話通訳者らでつくる「みんなで作る防災委員会」が立ち上がりました。その名の通り、当事者と支援者の連携を強化する目的です。

(倉敷市聴覚障害者協会 木村智子会長)
「(西日本豪雨の時)ろう者を良く知る手話通訳者が安否確認をしに行ったら避難せず家にいた。断水していることなども分かっておらず、避難所などの情報を教えたけど、聞こえないと外出しづらい。放送も聞こえないので、じっとしていることが多い」から避難所には行きにくいし、行っても話が分からないので孤立してしまう」

避難をためらって自宅にとどまり、支援が受けられなかったり、孤立するケースが多いといいます。

「連絡態勢はどうするか。その地区のろう者一人一人に避難を呼びかけて回るのは無理」
「可能であれば、団体や地域の枠を越えてサポートしてもらってもいいのではないか」

喫緊の課題は、手話通訳者が不足していることです。倉敷市には100人を超える聴覚障害者が住んでいますが、市の登録通訳者の数は22人です。

(みんなで作る防災員会 西山嘉代会長)
「聴覚障害者は何か起こった時、すぐに情報が届かない。それぞれの地域で、どこに当事者がいるのか情報を集約しておくことで何かあった時に助け合えるよう、今後も協議を進めていく」

聴覚障害者をデジタル技術で守る開発も進んでいます。

岡山大学病院の医師、片岡祐子さんが開発中のアプリ、「D HELO(ディー ヒーロー)」は、災害警報など音の情報が、身に着けているスマートウォッチに振動と画像で届きます。

(音田さん手話)【私も体験しました】
「テレビは常にみられない。スマートウォッチで知らせてもらえるといち早く避難することができると思う」

命に関わる情報をリアルタイムで知らせ、逃げ遅れを防ぎます。

(岡山大学病院 聴覚支援センター 片岡祐子准教授)
「緊急情報の第一報は音から入ってくることが多い。それで命の危険にさらされてしまう。社会として取り組んでいくべき課題。誰もが取り残されない社会を、災害時も平常時も目指していきたい」

災害時に情報が届きにくい障害者を取り残さないために、みんなが知恵を絞り取り組む必要があります。

今回、手話担当の音田さんにアプリを体験してもらいました。このアプリは2024年度中に完成し、ダウンロード可能となる予定です。

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