熱中症の予防には、牛乳が効果的――。信州大医学部特任教授の能勢博さん(スポーツ医科学)によると、「ややきつい」運動の後に牛乳を飲むことで、暑さに強い体をつくることができるという。
熱中症対策として、こまめな水分補給や冷房の利いた部屋で過ごすことが推奨されているが、能勢さんは「暑さに強い体づくりも心掛けてほしい」と話す。
カギを握るのは「血液量」だ。朝夕の比較的過ごしやすい時間帯に15分以上、「ややきついと感じる運動」をする。その後、30分以内にコップ1、2杯の牛乳を飲むと体内の血液量が増える。牛乳が苦手な人はヨーグルトでも効果があるという。
血液量が増えると、体温を調節するための体の反応が改善され、体の熱が皮膚表面から汗となって蒸発しやすくなり、暑さに強い体になる。
牛乳と血液量の関係について、能勢さんはこう説明する。
「運動直後は体のたんぱく質の合成が進みます。このタイミングで、材料となるたんぱく質が含まれる牛乳をとると、肝臓でアルブミン(たんぱく質)が合成されます。アルブミンの増加は血液量の増加につながります」
「ややきついと感じる運動」と牛乳の摂取を1~2週間続ければ、血液量は100~200㏄増えるという。
能勢さんは週4日、早歩きのウオーキングを15分以上した後、牛乳を飲むようにしている。暑さに強くなり、快適な夏を過ごしているという。
「暑さに強い体になって夏をエンジョイしてほしい。20~30分なら熱中症リスクはほとんどありませんから、自宅近くで運動した後に、涼しい部屋で牛乳を飲んでほしいです」【坂根真理】
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