学校給食がなくなる夏休みに、家庭で十分な食事を取れない子どもたちを支援しようと、東京都江東区で活動する「豊洲こども食堂」がラジオ体操を主催し、参加した小学生らにパンと飲み物を配布する活動をスタートさせた。代表の森生ゆり子さんは「しっかり朝食を取って元気に夏休みを楽しんでほしい。おいしいパンを用意して待っているので、誰でもおいで」と参加を呼び掛けている。
夏休みが始まったばかりの22日早朝、区立豊洲小学校近くの豊洲四丁目公園。眠たい目をこすりながら近所の子どもたち約80人が集まり、ラジオ体操に参加した。
体操終了後、ボランティアスタッフらが子どもたち一人一人に「おはよう」「よく頑張って起きて来たね」と声を掛けながら、用意したメロンパンやコロッケパンを手渡すと、子どもたちは笑顔で受け取った。
8月24日までの平日限定で、総菜パンと菓子パンの計2個とジュースや豆乳などの飲み物を、1日約60セット用意する。食料の購入費には、こども家庭庁の「ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業」の補助金を活用する。
同食堂はこれまで、夏休み中の支援として日中に弁当を配布するなどしてきたが、「生活リズムが崩れやすい夏休みも、しっかりと朝食を取って一日をスタートさせてほしい」との思いから、今年は初めてラジオ体操の開催を決めたという。
また、物価高騰の影響で「家賃が払えない」「子どもの食事に困っている」などの相談が保護者らから数多く寄せられているといい、森生さんは「1食分でも助けになれば。平等に配るので来たい時に来てほしい」と話す。
認定NPO法人キッズドア(東京)が6月下旬に公表した子育て家庭の生活実態に関するアンケート結果によると、1カ月の食費について1人あたり1万円未満(1人1食110円程度)で生活している家庭は、2人家庭で35%、3人家族では44%を占めた。
アンケートは5~6月、物価高騰による生活への影響や支援ニーズを把握する目的で、キッズドアが支援する家庭を対象に実施。1821件の回答を得た。回答者の9割が母子家庭で、今年の世帯所得の見込みは約半数が「200万円未満」、約8割が「300万円未満」だった。外食を減らすだけでなく、おやつや保護者の食事量を減らしたり、肉・魚を減らしたりしてやりくりしている声も多かった。
また、アンケートでは小中学生の子どもを育てる家庭を対象に夏休みの長さに対する考えも調査。「今より短い方がよい」は約半数に上り、「なくてよい」(13%)も合わせると夏休みの期間短縮・廃止を求める家庭は6割に達した。
理由(複数回答)は「子どもが家にいることで生活費がかかるから(エアコン代など)」(78%)、「給食がなく、子どもの昼食を準備する手間や時間がかかるから」(76%)が上位に。「給食がなく、子どもが必要な栄養を取れないから」も7割近くが選択した。
自由回答には「学校の長期休みは給食がないので、毎年恐怖」「夏休みの(学童の)弁当を作るのも不安。子どもから足りないと言われることもあり、満足する弁当を作ってあげたい」との声が寄せられた。【近藤綾加】
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