アプリを開発した田島創係長(左)と町田晃平主任=県庁で2024年7月12日午後3時40分、田所柳子撮影

 食品に紛れ込んだプラスチックの破片やゴキブリなど、製品の異物をAI(人工知能)で短時間に分析するスマートフォンアプリ「Corette(コレッテ)」を群馬県立産業技術センターの職員が開発し、販売を開始した。これまでは特定に時間がかかり、製造ラインの中止が長期化しかねなかったが、今回のアプリで予備的に分析し、結果次第で詳しい成分分析をして特定することで時間と費用が大幅に減らせるという。

 同センターで異物の詳細な分析などに携わってきた田島創係長と、AIに詳しい町田晃平主任が開発。企業から異物分析の依頼を受けても、電話で異物の説明が伝わりづらかったり、分析装置の予約がいっぱいだったりしたため、AIで時間の短縮を目指す仕組みを考えたという。田島さんは「企業にとって、自分たちが想定していない異物は一番問題になる。AIは強力な武器になると思う」と話す。

 まずスマホのアプリを開き、異物の写真を撮影。画面をタッチすると、プラスチック▽石▽ガラスなど無機物▽虫▽動物の骨▽人間などの爪や歯▽カエルの破片などたんぱく質▽植物片――など12種類の異物から上位の推定結果が示される。食品やプラスチック製品など幅広い製品に対応する。AIには12種類の写真各1000枚を学習させた。

 推定分析結果が出ると、工場内で異物が混入した場所も特定しやすくなり、対応に必要な人手も少なくて済むという。今回のコレッテの仕組みと次期解析モデルは特許出願した。山本一太知事は「県職員が事業者の課題に向き合い、有料販売できる質の高さで開発した。全国初の取り組みだ」と強調した。

 利用は月額2000円で、ダウンロード後8回まで無料で試せる。iPhone(アイフォーン)版のみだが、今後はアンドロイド版も検討している。【田所柳子】

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