子どもを性暴力から守るため「日本版DBS」制度の導入が決まった。子どもと接する仕事に就く人を対象に、性犯罪歴の有無の確認を事業者に義務付ける。ただ、病院などで働く医師は対象外だ。対象やその理由をQ&Aにまとめた。【塩田彩】
Q 子どもを性暴力から守る新しい法律ができましたね。
A 6月に成立した「こども性暴力防止法」のことですね。法律の柱となる日本版DBS制度は、子どもと接する仕事に就く人を対象に、性犯罪歴の有無の確認を事業者に義務付けます。確認の対象期間は、拘禁刑の場合は刑の執行終了後20年間、罰金や執行猶予の場合は10年間となります。
学校や保育所などが義務化されるほか、学習塾や放課後児童クラブなどの民間事業者も、国の認定を受ければ対象となります。
Q 子どもと接する全ての仕事が対象になりますか?
A 全てではありません。たとえば医療機関について、政府は「対象外」としています。このため病院やクリニックで働く小児科を含む医師、看護師は対象外となります。通学路の見守りボランティアも、国会審議で「一般論として対象外」と答弁しました。学校健診の担当医については「今後検討する」としています。
Q なぜ対象にならない仕事がある?
A 医療機関については、この法律がそもそも教育や保育に携わる職場を対象としていることや、子ども以外の患者も診察することなどを理由に挙げています。
さらに政府は、対象となる職務の要件として三つを挙げます。①子どもに対して優越的な立場となる支配性②子どもと密接な関係が続く継続性③保護者などの目が届きにくい閉鎖性――です。これらの要件から、2026年度の施行までに対象を判断していく方針です。
Q 対象はなるべく広い方がいいのでは?
A 政府は、要件を満たす場合はできるだけ幅広く対象に含める方針です。ただし、制度は憲法で保障された職業選択の自由を事実上制限する内容であるため、抑制的な運用も求められています。
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