正倉院文書など古い史料に記されたスパイスや食材を使った精進料理風のカレーライスが、奈良市西木辻町の「カフェ&ギャラリー メカブ」で31日まで提供されている。アイデアを提供した興福寺(奈良市)と大安寺(同)の頭文字を取って「KDカレー」と命名された。
誕生のきっかけを作ったのは、興福寺の辻明俊(みょうしゅん)執事長(46)と、大安寺の河野裕韶(ゆうしょう)副住職(36)。雑誌で好物のカレーについて対談することになり、「それなら」と、「メカブ」店主で仏像写真家の佐々木香輔(きょうすけ)さん(39)が奈良時代の僧侶の食事をイメージしたカレーを作ることにした。
スパイスは、長屋王邸跡(奈良市)出土の木簡や正倉院文書に書かれ、奈良時代にもあったと分かる「古自」(コリアンダー)や「丁字」(クローブ)、山椒(さんしょう)などを使用。ダイコンやナスを具材にし、みそでコクを出した。
肉の代わりにあぶった油揚げを使うのは、興福寺のまかないのカレーから借りたアイデア。料理の下には、がん封じの笹(ささ)酒で有名な大安寺にちなみ、ササの葉を敷いた。
「今回は動物性の食材を使っていないので、あっさりした仕上がり」と佐々木さん。秋にはKDカレー第2弾も検討しているという。辻さんは「室町~江戸時代に興福寺の僧が書いた『多聞院(たもんいん)日記』には、魚や海藻についての記述もあるので、そうした食材も提案したい」と話している。
KDカレーは27日までと31日、スパイスカレーランチ(税込み1300円)などで提供。午前11時~午後5時(4時ラストオーダー)。日~火曜・祝日定休。問い合わせはメカブ(080・6022・1985、佐々木さん)へ。(今井邦彦)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。