虐待などを受けて家庭で暮らせなくなった子どもを養育する里親。

 しかし、その里親が子どもを虐待するケースが表面化しています。

 どこにも逃げられず相談することもできない子どもたちを救うために何ができるのでしょうか。

 4月17日、検察に身柄を送検された札幌・南区の自営業、池田龍容疑者(38)。

 自宅で里子の男の子の顔を殴るなどした暴行の疑いです。


 池田容疑者は2022年4月から虐待などを受け、親と暮らせなくなった子どもを里子として受け入れる「ファミリーホーム」を自宅で運営。

 3月にも別の里子の男の子の顔や足を蹴り、ケガをさせた疑いで逮捕されていました。

 里親による虐待事件に付近の住民は…

 「子どもが出入りしていた。2~3人くらい。Q・虐待を知った時は? 恐ろしかった」(付近の住民)

 「いつも小学生が朝、ごみ出しをしていた。(容疑者とは)話したこともないし挨拶したこともない」(付近の住民)

 ファミリーホームを管轄する札幌市は。

 「関係機関の人が児童のケガを発見して事案が発覚した。児童の養育をしている人が児童に暴行をしたことが残念」(札幌市児童相談所地域連携課 笹谷美奈課長 )

 里親制度は、虐待や貧困などで実の親と暮らせない子どもを別の家庭で養育する仕組みです。子どもの年齢は原則18歳までです。

 国は2016年に児童福祉法を改正し、児童養護施設よりも家庭で養育する「里親委託」を推進しました。

 これによって里親の元で暮らす子どもが増え、2022年度末で北海道の里子の数は525人。10年前に比べて95人増えました。

 愛情と熱意を持つ里親が増えた一方で、今回のようなケースも表面化し、札幌市児童相談所では虐待の防止に取り組むよう里子が暮らすほかの施設にも呼びかけています。

 里親による虐待はほかの場所でも起きていました。

 「階段から落とされたり、針で体中刺したり、拳で殴られて顔が真っ青になった時、ファンデーションを小学校の頃から塗らされて学校に行ってました」(里親から虐待を受けた少女)

 虐待の体験を話してくれたのは、北海道の10代後半の少女です。

 里親の女性らから虐待を受けていました。

 少女は生まれてまもなく里親に預けられましたが、育児放棄などで児童養護施設に入所。

 入退所を繰り返しながら高校に入りましたが、里親の元での虐待は続きました。

 その後、通っていた高校もやめた少女。

 少女はスマホから知人に助けを求め、連絡を受けた知人経由で自立援助ホームに繋がり現在はそこで暮らしています。

 自立援助ホームは虐待などで家庭で暮らすことができなくなった原則15歳から20歳までの若者が生活をする施設で経済的、精神的に援助することが目的です。

 暮らしは安定しましたが将来の夢や希望はまだ描けてはいません。

 「元々の夢は看護師だったけど自動的に無理だから夢がないです。ただ生きていければいいかな」(里親から虐待を受けた少女)

 それでも少女は、自立援助ホームの支援も受けて、4月から別の高校に。

 「1人暮らしをしたい」という将来への一歩を踏み出しました。

 2022年度以降、北海道と札幌市が把握した里親による虐待は4件です。

 しかし、これは氷山の一角とみられていて、札幌市は里親のケアをするため、研修や訪問支援などを行う民間の機関3か所との連携の強化を進めています。

 「里親が子育てをする中で一人で(悩みを)抱え込んで困らないように繋がっていくことが大事。そういう声を関わりにつなげていきたい」(興正フォスタリングセンター 小野実佐さん)


 新たな被害をこれ以上出さないために、里親のケアを含めた対策が急務となっています。

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