経年劣化や故障しているのにそのまま使い続けた温水洗浄便座から、煙や火が出るといった事故が目立っていると、製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけている。ほぼすべての家庭に設置されるほど普及している一方で、温水洗浄便座が寿命のある電気製品だと認識していない消費者もいるのではないかとみている。

 NITEに通知された製品事故情報で、温水洗浄便座の事故は2014年からの10年間で69件あった。製造から10年以上経過した製品の事故が54件と約8割を占めた。

 22年に東京都で起きた便座から発煙した火災では、洗浄ノズルが出たまま戻らない状態の便座を使い続けていた。ノズルを動かすモーターに付く基板上で異常発熱して出火した可能性が指摘された。

 69件のうちの3割を占め、最も多いのが、長く使い続けようとしたことによって起きた事故だった。水漏れや便座が温まらないといった故障や異常が起きていたが使い続けていて発生した事故が15件、長期間使用で内部部品が経年劣化して、発火・発煙に至った事例が4件あった。

 「温水洗浄便座は電気製品で、異常や故障を放置して使い続けると発火し、火災につながるおそれがある」とNITE。日本レストルーム工業会は、10年以上使用している製品は点検と買い替えの検討を勧めている。

 NITEは、焦げた臭いなど異臭がする、便座や洗浄水が温まらない、または異常に熱いといった故障や異常に気づいたら、便座の止水栓を閉め、電源プラグを抜いて使用を中止することが重要だとしている。

 また、リコール対象製品による事故も10年間で14件起きていた。NITEは、使っている便座がリコール対象ではないか、確認してほしいという。

 誤った方法で掃除を繰り返したため、便座の内部に洗剤や洗剤から発生したガスが入り、事故につながった事例もある。取り扱い説明書で使用できる洗剤を確認するほか、便座に洗剤を直接吹きかけたり、便器に洗剤をかけて長時間放置しないことも注意事項に挙げている。(大村美香)

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