家電量販店で売られているスマートロック=ビックカメラ名古屋駅西店で

 夏休みは行楽や帰省などで自宅を留守にする機会も多く、空き巣などの犯罪対策には気を配りたい。2023年には住宅への侵入盗が前年比で1割増えたとのデータもある。被害を防ぐにはどのような方法があるのか。住宅の防犯対策に詳しい専門家や、ITの利用も進む防犯グッズを取材した。(海老名徳馬)

◆侵入盗の件数増加

 警察庁によると、23年の侵入盗の認知件数は4万4228件で、前年から20・9%増えた。そのうち、住宅での窃盗は11・3%増の1万7469件。いずれも00年代前半から減少を続けてきたが、一転増加に転じた。  22年の統計では、最も多い手口は「空き巣」で63・9%。家人が寝ている夜間に侵入する「忍び込み」が25・2%、在宅中に気付かれないよう侵入する「居空き」が5・3%と続く。侵入方法は、施錠していなかった場所からが全体の半数近い46・8%を占める。次いでガラスを破る手口で26・2%。合鍵やピッキングなどで錠を開けて入られた被害が8・0%だった。  自宅を守るにはどんな対策が有効なのか。住まいの情報をYouTubeチャンネル「職人社長の家づくり工務店」で発信し、「住まい大全」(KADOKAWA、1760円)の著書もある平松明展さん(44)=写真=は「まず、無施錠を避けることが大切。かけ忘れてしまうこともあるので、スマートロックを付けるのがいい」と勧める。

◆手軽に設置 効果大

 スマートロックは、玄関などの扉の内側の錠を覆うように設置する機器で、専用のアプリを使ってスマートフォンなどで錠の開け閉めができる。一定の時間がたつと自動的に鍵がかかるといった設定ができるものもある。  「自動なら施錠を忘れない。導入したいと考える人は増えている」。両面テープで貼り付けるタイプが多く、手軽に設置できる。  専用の照明と連動させ、留守中に点灯させて家に誰かがいるように思わせる商品も出ている。  平松さんによると、犯罪者は、周囲に気づかれず入れそうな家に目を付ける。そうした状況をつくらないよう、接近すると点灯するセンサーライトも防犯に役立つという。「一軒家なら玄関だけでなく裏側なども明るくするといい」と話す。  防犯カメラも効果的だ。「いろいろな対策をしていると分かれば、別の家を狙おうと考える」と平松さん。踏むと大きな音がする防犯砂利を敷き詰めたり、窓ガラスを割れにくくする防犯フィルムを貼ったりするのも有効だという。

◆店頭コーナー充実 IoT活用 防犯カメラ価格低下

防犯カメラなどが並ぶホームセンターの売り場=DCM21名古屋城北店で

 家庭用の防犯グッズは年々身近な存在になっており、IoT(モノのインターネット)などを活用したものも出ている。名古屋市中村区のビックカメラ名古屋駅西店では、スマートロックや連動して動くカーテン、照明などの売り場を設けている。担当の井上大樹さん(41)は「40代から50代くらいを中心に人気が出てきている」と話す。  出かけてから家の鍵を閉めたか心配になった場合でも、スマートロックなら手元のスマホで状態を確認できる。1万円程度から購入でき、エアコンなどの家電やカーテンの開閉といったさまざまな機能と連動し、暮らしをより便利で快適にできる品もある。井上さんは「簡単に生活の質が良くなるなら、と興味を持つ人が多いのでは」と語る。  同市北区のDCM21名古屋城北店も、昨年から防犯カメラやセンサーライトなどのコーナーを拡充した。「闇バイト」などとネット上で実行犯を募る強盗事件が注目を集めたことで、同店の小塚航平さん(31)は「報道などを受け、防犯グッズを求める人が増えた」と話す。  防犯カメラではネットにつなぎ、映像を遠隔で確認できるタイプが人気を集める。スマホで状況を見ることができ、人工知能(AI)を使って人が映ると自動で録画するなどさまざまな機能がある品も増えている。  かつては防犯カメラが高価だったこともあり、形を模したダミーのカメラを中心に陳列していたというが、「ここ数年は安価で質のいい商品が増えてきた」と小塚さん。1万円台のものが売れ筋という。太陽光パネルと組み合わせればコンセントが不要で、Wi-Fiにつなげなくても画像がスマホに届くといった新しい機能を持つ商品も出てきているという。  センサーライトはカメラに比べて安価で、手軽に防犯対策ができる品として人気が高い。人の動きを検知すると点灯して、しばらくすると自動で消える。太陽光パネルで自動的に充電できるタイプもあるという。


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