お化け屋敷に突撃!
まず訪ねたのは、商業施設のお化け屋敷。
お化け屋敷のどこが怖いのか。
体験したのは職場では落ち着いた印象がある畑谷ディレクター。
「イヤだイヤだ。無理、怖い。イヤだぁぁぁぁぁ!!!」
いきなり出てくるお化けはもちろん、いつ出てくるのか分からない状況も含めてすべてが怖い。
ゴールまでの13分間で、「イヤだ」と叫んだのは70回に上りました。
お化け役のスタッフは人を見て怖がらせ方を変えているといいます。
お化け役のスタッフ
「音で怖がる人もいれば姿を見て怖がる人もいるので、脅かしていると方としては工夫して怖がってもらえてうれしいです。お化け屋敷で働くのも実は怖いのですが、脅かすうれしさの方が勝ってますね」
お化けはなぜ怖い?
人はなぜ、お化けを怖がるのか。
心理学が専門で、恐怖やトラウマ研究の第一人者、同志社大学の余語真夫教授は、お化けが怖いのは「コントロールできない存在だと思い込むこと」が原因だと言います。
同志社大学 余語真夫 教授
「お化けが実際にいるのかいないのかは分かりませんが、自分でお化けを消すことも捕まえることも制圧することもできないと我々は思い込んでいるので恐怖を感じます。コントロールできないということと、自分の命に危険が及ぶという可能性を想像して怖がるという仕組みです」
お化けがいるかもしれない状況に出くわすと、過去に見聞きした怖いお化けを想像し、防衛反応として恐怖の感情が高まるということです。
同志社大学 余語真夫 教授
「恐怖という感情は生物として非常に原始的な反応です。端的に言うと命を守るためのシステムなんです。お化け屋敷やホラー映画では、すべてが理解できていると状況は全く怖くないですよね。意表を突いた仕掛けがあるとコントロールできていないと思うから怖いのです」
お化けはいつからいるの?
私たちはいつからお化けを意識するようになったのか。
奈良時代にはすでに「幽霊」の記録が残されていると指摘するのは、お化けの歴史についての著書もある二松学舎大学の小山聡子教授です。
二松学舎大学 小山聡子 教授
「奈良時代の747年の資料が初見で、そこに自分の師匠の僧侶の『幽霊』を供養するという言葉がでてきます。人間が生活を営むようになってから霊というのは畏怖される存在だったのではないか」
お化けが怖がられるようになったのは、もののけや霊などが病気や死もたらすと、考えられていたからだといいます。
二松学舎大学 小山聡子 教授
「人間にとって究極的な恐ろしいものは自身の死ですよね。だから死に近い霊も怖いということだと思う」
お化けは楽しむ対象に!?
夏とお化けと言えばこの人、稲川淳二さんにも話を聞かないわけにはいきません。
全国をまわる怪談ツアーを続けて32年、真夏のひとときをひやっとさせ続けています。お客さんは何を求めて怪談を聞きに来るのでしょうか。
稲川淳二さん
「恐怖って面白さ、快感なんですよ。で、怪談って運命共同体で、みんなで一斉に怖くなったり、一斉に笑ったりするんです。みんなで快感を得るのが怪談なんですよね」
稲川さんは、人生経験が豊富な人ほど、想像力が高まってより怖さが引き立つといいます。
稲川淳二さん
「ある程度人生を生きていた人間が怪談を聞くと、その状況が思い浮かぶから怖くなるので、なるべく状況が想像しやすいように話しています。だから子どもは怪談を聞いてもあまり怖がらず、大声に怖がっています。大人はあるはずのないもの、いるはずのない人がいたりする状況を想像して怖くなる」
取材後記
お化け屋敷も怪談も怖すぎて「なんでこんな取材テーマを提案したんだろう」と後悔した取材陣。
でも取材が終わった今となってはすっきりした気もしていて、やっぱり快感なのかも…?
(7月24日「ほっと関西」で放送)
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