横浜市港南区では上永谷駅近くの交差点付近に生えているリュウゼツランが8メートル以上の高さに成長し、先月、花を咲かせました。
「リュウゼツラン」はアメリカ南西部からメキシコに自生する植物で、日本には観賞用などとして持ち込まれ、数十年かけて育ったあと1度だけ花を咲かせて枯れます。
葉の先がとがりとげがあることから、竜の舌にみたてて和名がつけられたとされています。
200を超える種類があり、このうち日本では比較的大型で寒さに強い「アオノリュウゼツラン」が多く見られます。
小学5年生の女の子
「もう少しで枯れるので、写真を撮りたいと思って来ました。すごい高くて、いっぱい花が咲くところがいいと思います」
横浜市港南土木事務所 坂口堅章 副所長
「このリュウゼツランは市が植えたものではない。見物の際には車や歩行者に気をつけて安全に見てもらいたい」
このリュウゼツランの開花、ことしは春から夏にかけて関東や東海、四国、九州の各地で相次ぎ、SNS上でも話題になっています。
NHKの取材では
NHKの各局の取材ではこの春、
▽静岡県浜松市の花博の会場で
20年前の花博の際に植えたとされるリュウゼツランが開花。
▽香川県高松市の女木島でも開花が確認されたほか、
先月には
▽愛知県の知多市役所、
▽宮崎県日南市の国道の道路脇、
▽高知県室戸市の室戸岬の遊歩道、
そして
▽岐阜県揖斐川町の川沿いで
相次いで花を咲かせました。
カーポートの屋根を超えて…
またNHKの情報提供窓口「ニュースポスト」に寄せられた投稿では、
▽ことし6月、鹿児島県徳之島の宿泊施設の敷地内でも開花。
▽栃木県鹿沼市の住宅では先月、4メートルほどの高さまで成長したリュウゼツランが花を咲かせました。
▽静岡市駿河区でも道路脇の敷地に生えていたリュウゼツランが開花したということです。
SNSでも開花報告相次ぐ
リュウゼツランの開花はSNS上でも話題になり、
▽瀬戸内海に浮かぶ香川県の小豆島や
▽三重県志摩市のテーマパーク、
▽横浜市金沢区のレジャー施設、
▽神奈川県藤沢市の江の島、
▽千葉県市原市の館山自動車道にあるサービスエリア、
▽東京・伊豆大島でも
リュウゼツランが開花したということです。
なぜ開花相次ぐ? 専門家“気温の上昇が影響か”
多肉植物に詳しい中部大学の堀部貴紀 准教授は、数十年に1度だけ咲くリュウゼツランの開花がことし各地で相次いでいる要因として、気温の上昇が影響しているのではないかと指摘しています。
そのリュウゼツランの開花がことし日本の各地で相次いでいるのはなぜなのか。
堀部 准教授
「リュウゼツランは暖かいとよく成長し、大きくなると花を咲かせるが、日中の温度が30度以上、夜の温度が10度から30度で成長が良好になる。近年の温暖化傾向によって、その範囲に入る日数が増えたのではないか」
実は外来種 「生態系への影響懸念も知って」
また日本では昭和30年以降のサボテンブームの時に観賞用として多く輸入されたということですが、東京の小笠原諸島では商品作物として栽培されたあと自然に広がり、今では繁殖しているということです。
堀部准教授は、各地で個体数が増えている可能性があるとしています。
一方で外来種であるリュウゼツランの繁殖は生態系に被害を及ぼす可能性があり、環境省は日本国内に定着し甚大な被害が予想されるとして、対策の必要性が高い「重点対策外来種」に区分しています。
堀部 准教授
「日本で外来種であるリュウゼツランの個体数が増えれば、在来種の生育範囲を狭めることにつながり、生態系への影響が懸念される。リュウゼツランの開花は珍しい現象で面白い花を咲かせるが、同時に外来種として日本国内で繁殖すれば生態系に影響を与えることも知ってもらいたい」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。