ウズラの処分回避や需要拡大のため、資金提供を呼びかける浜名湖ファームの近藤哲治社長(右)=浜松市で2024年7月29日午後2時22分、山田英之撮影

 今年2月、福岡県みやま市の小学1年生の男児が給食を喉に詰まらせて死亡した事故を受け、原因になったとみられるウズラの卵を学校給食の献立から除外するなどの影響が広がっている。ウズラの飼育や卵を販売する会社「浜名湖ファーム」(静岡県湖西市)は、減産によるウズラの処分を回避するため、インターネットを介して資金調達するクラウドファンディング(CF)に乗り出した。【山田英之】

 事故を受けて、ウズラの卵の需要は全国的に減少した。浜名湖ファームでも約2割の減産を余儀なくされ、飼育する約7万羽のうち1万羽を処分せざるを得ない状況になっている。

 CFは7月末から開始。消費者や企業、飲食店に協力を求め、8月末までに300万円を目標としている。支援金額は3000円から10万円まで。支援金額によって、活動報告、ホームページに支援者名掲載、ウズラとのふれあい体験、農家直伝レシピ付き生卵60個提供、飲食店向けにウズラの生卵7000個提供などの返礼品がある。

 円安による飼料の高騰が重なり、廃業の危機に直面する可能性も高まっている。CFを通じてウズラの卵の豊富な栄養や味を知ってもらい、飲食店やスーパーマーケットでの取り扱いを増やすことで需要拡大を目指す。

 浜名湖ファームの近藤哲治社長は「新型コロナ禍で飲食店などの需要が減少した時も減産せざるを得なかった。私たちが飼育するウズラは自然食品で育てているので卵に臭みが出ない。CFをきっかけにウズラの卵を食べて、良さを知ってほしい」と話している。また、事故を受け、小学校低学年の児童や保護者に向けて「ウズラの卵はよくかんで食べて」との情報発信もしている。

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